第7章 夢での邂逅
レスカテ王子一行と共に、儀式をクリアしたユナム。
里長の家で一泊し、改めてアソオス国の王様に会う必要があった・・。
夜・・意味深な夢を見るものの・・・特に気にしない事にしたユナムだったのだが・・・・。
儀式も無事に終わり、里で休ませてもらった翌朝。
ただの会話とはいえ、何か気になる夢を見たユナムは、ひとり先に起きた。
俺は、冒険者になりたての時も・・この”奇妙な夢”を見ていた。
その夢に自分は出てこず・・・何かしら悲惨な場面をリアルに見ているような夢
しかもこれは、この時に初めて・・ではなく、もっと小さい頃から時々見る夢
夢の話は、アイラくらいにしか言ってない。
そのアイラも「ただの夢だよ」というくらいで、俺自身も気にしてなかった。
唯一、気になりだしたのは・・・幼い頃に見た夢の中で、親父が大ケガをする夢。
不安になって「魔物に油断しないでよ」と声をかけたその夜に、親父は多少のケガはしていたものの、大ケガも無く帰宅。
親父は、俺のひと言に感謝してたのを・・今も 思 い 出 す。
そして俺が今・・王子のグループに参加してる経緯も、この”奇妙な夢”を見たから。気になって向かった先で夢の事が現実になってて、助ける事にして・・今、仲間で居るんだ。
あの日、仲間になるって決めた事を受け入れてくれた王子たちに、俺は感謝している。今、共に行動出来てる事も。
正直な話、俺のこの夢は本当に 奇妙 だと思う。
一体・・何だって言うんだろう?
まぁ、考えたところで・・どーにもならないんだけどな・・・。
着替えて、里長に挨拶。
王子たちが起こされ、里長一家と朝食。
俺「そういえばルアさん、ココに魔法陣があるんですか?」
ルア「ん?・・あぁ、ううん。そうじゃないの」
?・・と首を傾げていると
ルア「一度行った事のある場所なら、私の魔法陣で飛べるのよ」
・・・・!・・・そういや、前に『使えるけど、条件がある』みたいな事・・言ってたような・・・・。
王子「町や村など、ギルドのある場所でないと使えないがな・・」
・・・そういう事か。
だから、この里の前の洞窟は無理だったのか・・・・。
ルア「逆にあの時、お城へ先に行かなかったら・・もっと早くに起きて砂漠越えだったわね・・・」と、ボソッと呟くルアさんに俺は・・・
それはそれで嫌だな・・って思ったよ・・・。
オリクト「ま、結果オーライって話だろ?」
ルア「まぁそうね」
王子「王に会ったら、次の目的地へ向けて出発しないとな・・」
俺「次は、どこになるんですか?」
王子「さてな・・。だが、鍵の特徴から・・コロモス国になりそうだ」
また、俺は頭上に『?』を浮かべていた。
ルア「一応、どこから行っても良いのだけど・・」
王子「儀式で出た証が導く先へ向かった方が無難なんだそうだ(父王曰く)」
へぇ~・・って、間の抜けた声を 出 し て し ま っ た ・ ・
王子「フッ・・まぁ・・まずは、王に会ってからだな。ルア、そろそろいいか?」
ルア「ふふっ はい。それでは、行きましょうか」
オリクト「わっはっは!ユナム、行くぞ!」
と、みんなに笑われつつ・・里の広場へ。
里の皆さんに見送られながら、長い詠唱を唱えるルアさん・・・。
その声と共に魔法陣は描かれていき、青く輝き出す!
王子は、里長に礼を言い・・・一瞬で光に包まれ、眩しいと目を閉じる。
・・・・。
「ユナム・・もう着いたわよ」
と、ルアさんの声で目を開くと、王城の入口 目の前だった!
王子「すぐ、会ってくださるそうだから、行くぞ」
王子は俺を手招く。王子の横にはオリクトとルアさん。
また、門番に案内され・・王との謁見での作法を習い・・
王子を先頭にオリクトとルアさん・・その後ろが俺の順に入り、王の玉座の所で、跪く。
王は、まだ来てない。 王妃の席にも誰も座ってないが・・玉座の両脇には、フルメイルの槍を持った兵士が置物のように立っていた。
・・置物ではなく、時々立ち続けてるのが辛いのか動く。
跪いて数分程度過ぎた頃に後ろの扉が開き・・・
・・・・誰かが、椅子に座る音が聞こえた。
「レスカテ王子、初の儀式クリアのようだな・・」と王の声。
王子「はい。儀式の証を受け取りました」と跪いたままで、あの鍵を差し出してるようだった。
名前を呼ばれるまでは、頭を上げてはいけないので、なんとなくだけど・・
王「ふむ・・・そう来たか・・・レスカテ王子、顔を上げよ」
王子は、顔を上げ王を見る。そして、王は立ち上がる!
王「儀式の成立を確認した。では、その鍵がそなたの次なる導きとならんことを!アコルダール・レ・アムレート!!」
その時、眩い光が部屋を満たし・・・それが王の手元に戻ると、鍵は光をまとったまま、王子の胸へと吸い込まれた!
・・ってのは、あとでルアさん達に聞いた話で、俺の所からじゃ見えなかったんだ。
あの、王様の言葉・・・呪文? あれで”証は王子の魂に刻まれた”って話。
・・・毎回の事だが、よくわからなかった。
とにかく、その後は・・ルアさん、オリクトの順で呼ばれ、俺も呼ばれて立ち上がり、王様を見た。
褐色肌に、ややグレーがかった黒髪に髭の。
黒い光沢のある布に、赤黒い刺繍が施されている。
王は、王子に・・アソオス国の儀式を終えた事を祝って支度金をくれた。
門へと戻る時、俺は王子に・・王様は何と言ってたのか気になって聞いた。
王子「あぁ、アソオス王子に会ったら王の言葉を伝えてくれ・・と」
オリクト「それは一体・・何だったんです?」
王子「・・ただの・・父親としての言葉のようだったな・・・。まぁ会うかは、わからないがな」
ルア「そうですね。去年から儀式巡りしてるという話ですし、先行してるから・・・どこか別の所へ行ってそうですよね・・・」
俺「儀式って全国ですよね?先に終わったら・・アソオス王子が・・って事になるんですか?!」
ルア「いいえ。儀式の証を全部集めたとしても、今回は王子・・レスカテ王子も参加しているから、王子が集めるまで待っていないといけないのよ」
それは・・それで・・・・何か、申し訳ない気持ちになるな・・・
とか考えてると察した王子は「アソオス王子なら分かってるから問題は無い」と言い儀式を1つ終える度に・・観光をしているという話を聞いたそうだ。
オリクト「それなら、今は観光してるかもっすね」
王子「俺らは明後日には、コロモス国へ向かうからな」
門を過ぎ・・ギルドが見えてきた辺りで、王子は言った。
俺「え?って事は・・・観光して良いって事ですよね?!」
って、ややテンション上がり声も大きくなっていた。
王子「あぁ。明後日の昼には港へ向かうからな」
オリクト「ユナム、俺が案内してやろうか?」
俺「ありがと。だけど、まずはひとりで行きたいんだ」
オリクトは、少し残念そう。
ルアさんが、俺に数枚の金貨をくれる。・・・こずかいか?
ルア「私はギルドか魔導院に居るから、何かあれば探して」
王子「ギルド以外で寝るなら、俺の名前を出していいぞ」
俺「え?なんで??」
オリクト「知らなかったのか?王子の名前使えば、半額で泊れるんだぞ」
どうやらギルド証にそういう情報が読み取れるようになってるらしく、ルアさんによると、店主にギルド証を見せると、どこの宿も半額になるらしい。
・・・ちなみに、アソオス王子は・・自国・・つまり、ココ・・・
アソオス国内だと、タ ダ らしい。
では、さっそく! っと、行ってみたかった、武器や防具の店が並ぶ、商業地区・・。ルアさんの言ってた『魔導院』や図書館などの大きな建物が目立つ、学術地区・・・・。貴族・平民・・などの住宅地区などなど。
そういえば、ココにも試しの洞窟があるのかと思ったが・・・。
いろんな人の話を聞いてると、どうやら・・この国には無いらしい。
その代わり、砂漠で一晩過ごすとか、特定の固有種系魔物の討伐で、ランクが上がるらしい。
他にも、いろいろ聞けた。
ヘラジの塔では、今も変わらず多くの冒険者とかが挑んでいるらしいが、特定のアイテムが無ければ、ワナや魔物の攻撃で亡くなる事もあるって話。
他の国の情勢に詳しい人に会ったが、コロモス国では儀式よりも何か問題が起きてるって話を聞いたり、今一番の話題と言えば・・この国の王子とレスカテ王子の2人のどちらが、より相応しいか?という議論で白熱してたり・・。
商人ギルドの商館にも立ち寄った際に、どこかの商人が行方不明で、見つけたら商人ギルドに教えてくれって頼まれたり・・。
以前に砂漠越えした際に、俺が見間違えた方へ進むと『クロの洞窟』と呼ばれるダンジョンに行けるらしい。
そこは・・入口は1つなのに、奥へ進むと道が分かれていて、左が『オスクロ洞』・右が『イスクロ洞』に繋がってるそうだ。
名前だけじゃなく、それぞれの先に出て来る魔物が特殊で・・・みたいな話を聞いたりしてた。
正直、この『クロの洞窟』が・・レスカテ国の『試しの洞窟』みたいと思ったけど・・・よくよく話を聞くと、ランク4以上で仲間もある程度居ないと、危ないって話だ。
・・・・ひとりで行ってみようと思ったが・・・やめておいた。
そんなこんなで、充実した1日となり、夜になったので・・宿に泊まる。
恐る恐るギルド証を見せると、ちょっと高いな・・と思ってた宿代が、ホントに半額になって、ラッキーだった♪
王子・・ありがとうございます・・・・と思って眠った。
・・・。
どこかの石が積まれた壁・・・円形・・・な建物内。
見慣れない人達・・・。
褐色・黒髪の長い・・アソオス国のマントを付けてる。
長剣を右手に持ち、左手に短剣を持ったディアルクの人が魔物の前に居て、戦っている。
その近くに、身のこなしの軽い、短剣を持って戦う黒髪の少女・・・
ん? アイラか?!
そして、ディアルクの後方には大盾を目の前に突き立て、投げ道具で援護している男と、アイラのフォローに立ち回ってる、大きな斧を振り回して、時々アイラの足場として使われてたりする男が・・・。
魔物は、いかにも強そうな形相で・・体力や攻撃力も高いようで苦戦している・・・って事しか分からない。
どこなんだ?!そこは??
アイラ(だと思う)が、敵の鋭い爪攻撃で負傷した瞬間!
俺は飛び起きた!!
・ ・ ・ ・ ・ ・。
「どこだよ・・・あれ・・・・」
何かもわからない魔物の姿。
・・・そうだ。ギルドで聞けば・・・あの魔物が何か分かるかも・・・。
俺は、すぐさま宿を出て、ギルドへ向かう。
途中の飯屋でオリクトを見つけたものの、俺は声もかけずにギルドへ急いだ。
・・・・アイラ・・・・。
ギルドに到着。
案内人に”こういう姿の魔物なんだけど・・”と説明する。
「そうですね・・それなら・・・」と魔物図鑑を開いて説明してくれた。
どうやら夢に出てきた魔物は、あの・・【 ヘラジの塔 】にのみ存在を確認されている魔物で、名を『ベトリューガー』と言い、どうやら冒険者ギルドのランク4でないと行けない塔内・46階のフロアボス(各階に必ずボスは居る)らしい。
・・・・ランク4じゃ・・まだ行けないぞ。
王子の時は、夢見た直後に行ったから、あのソールさんも助かったのに・・。今の俺はやっと3になったばかりだ・・・。
どうする? いや・・でも、王子たちもランク3のままなら、入れない。
行っても、助けられない・・・・。
ギルド2階の蔵書近くの窓辺のイスで、唸るしかなかった・・・。
夜になった頃・・・俺は、眠っていたらしい。
「ユナム・・」
俺は薄暗い中で、誰かが俺を呼んだ気がした・・・・・ん・・
「ユナム、起きて」
目を開けると、ルアさんと王子が居た。
王子「どうした?こんな所で寝るなんて・・」
ルア「部屋へ来れば良かったのに」
俺「王子にルアさん・・・すみません・・・。ちょっと考え事してたら・・寝ちゃったみたいで・・」
王子「考え事?それは・・?」
ルア「王子、ユナムを部屋に連れて行きましょう。話はそれからでも・・」という言葉に王子は頷き・・
俺は、王子たちと共に、以前と同じような部屋に通された。
ベッドに座らされ、王子たちも、イスに腰掛ける。
ルア「それで、何か悩んでるの?」
俺「いや・・あの・・・・」言葉が続かない。
夢の話なんて、信じてもらえるかどうか・・・・。
しかも、行っても仕方ない。
ランク4になってからじゃないと・・なんて・・・・。
王子「何かあったのか?」
俺が話出せずに居る事を気遣ってくれているのが分かる。
ルア「単語で良いから言ってみて」
俺は、塔の名前を口にした。
ルア「え?行きたいって事?!」
王子「・・・俺たちは・・」
俺「分かってます。儀式の為にコロモス国へ行くって事は・・」
ルア「観光気分で行くには、危ないわよ・・あそこは」
王子「行きたい理由は何だ?」
・・・。 ・・・・・言えない。
埒が明かないせいで、一旦この話は後日となった。
俺がしんどそうな顔してるからと、早く眠るように言われる。
・・・朝から、何も食べてないのに・・・腹は減らなかった・・・・。
その夜・・・
あの戦いの場面から、一転。
塔の説明聞いた時に、13階層ごとに休憩フロアと呼ばれる、安全地帯があるらしい。そこで休憩している・・アイラたち。
メイドの服を着てる女性が、アイラの傷を癒していた。
・・・・無事だ。今すぐ、どうこうなる話じゃなかったのか・・・・
俺は夢を見ながらホッとした。
アイラ「申し訳ありません・・王子。私があそこでヘマしなければ・・」
王子と呼ばれた者は、仲間をひとりも失う訳には・・と言って、明日リベンジだ・・とか言ってる。
たぶん、アソオス王子なんだろうな・・・。
俺は、内心ホッとして・・・また眠った。
【儀式の証と王の認証】儀式でどんな証を入手しても『証』と認められる為には、王の呪文が必要。これにより、証は光をまとってその証を入手した王族の魂に結び付く。これにより、アイテムとして所持せずとも良くなる。
【王の呪文】[アコルダール・レ・アムレート]
・アコルダール→ポルトガル語・覚醒
・レ=→イタリア語・国王
・アムレート→イタリア語・お守り
儀式を受ける者の王たる力を覚醒させ魂に刻まれる守りとせよ・・という意味。
【魔導院】魔力が多い者を対象とした、アルメルダ(初級魔法使い)をエルグレイン(魔導師※第6章後書き)へと育てる機関。
【クロの洞窟】アソオス国・城の反対方向へ進んで海が見えて来る頃にある洞窟。
中は、途中から2つの道へと進める。冒険者ランク4以上推奨。
左・オスクロ洞→物理攻撃に強く・魔法攻撃に弱い魔物が出る
右・イスクロ洞→魔法攻撃に強く・物理攻撃に弱い魔物が出る
(クロ→フランス語・牙/オスクロ→スペイン語・陰気/イスクロ→ポルトガル語・陰気)
それぞれ、弱点を突けば簡単と思われるが、必ず1ターンめで対策するので厄介と言われている。
【ディアルク】職業名のひとつ。
両手に武器を装備する二刀剣士※剣士とは言わない場合も含む。
【ベトリューガー】ヘラジの塔・46階(ランク4以上推奨)・フロアボス・紫の体
(ドイツ語・詐欺師)
何本もの腕を持ち、攻撃が多彩。しかも、技名で判断すると痛い目をみる。炎系の技と思っても、氷や雷など別系統の魔法を放ったり、刃と言って打撃攻撃だったりする。この為、詐欺師と揶揄される事となった魔物。
次回、ユナムの夢の続きと選択と・・王子と・・・。




