第31章 精霊 ラーヘブザラーム
『魂の石』は、ペルルに協力してもらえた事で、オリクトが持ってきた。
次は『月の滴』だけど、それには‥あの王妃の一族に会う必要があるとか・・。
「ユナム、もう起きて‥着替えてちょうだい」
‥ん ぅ・・はい・・。 む く り と起きたものの・・目が開かない。
さむい・・。それに、ねみーー・・。
「おい!起きろって!ユナム!」 うぅーーん・・。
「王子を助けるんでしょ!」ってルアさんの声で、やっと目が開いた。
‥やっぱ、早い時間んじゃんか・・。まだ、外は真っ暗だ・・・。
オリクトは、寝床の片付けをして、ルアさんは、朝飯の準備してる。
ひとまず着替え終わって薄着‥なんだけど、ルアさんの魔法なのか、寒くない・・。さっきは寒かったけど。
飯を食べながら、今日の予定を確認する。
ルア「まずは、城へ‥簡易 魔法陣で行くわよ」
オリクト「そんで、王妃にでも会うのかよ?」
「え?‥そうなんですか?!」
ルアさんは、軽く頭を振り‥違うって答えた。
どうやら・・城へは行くけど、そこで王妃の一族の人が‥案内してくれるらしい・・目的の『月の滴』の所まで。
ルア「実際に行ってみないと、どうすれば良いのか…分からないから‥」
とにかく、まずは城へ。エレヒアの『 簡易 魔法陣 』は、何度も使えるのか‥またコレで移動する。
ルア「何度でも‥って言うけど、1日3回程度しか使えないみたいよ」
「そうなんですか?」
フィエルテに飛んだ時、ルアさんだけ アソオスに飛んだ時‥に使ったらしい。
その後‥戻る時は、ルアさん自身の魔法陣を描いて、戻って来たみたいだ。
・・なんで、戻る時も使わなかったのか?と聞いてみたけど、どうやら回数を示している光る粒が、残り1粒だったのが、気になったせいらしい。
オリクトが戻って来て、直後にアレで飛んだ後に、光る粒が消えた。
その後に試しで‥割ってみたけどすぐに、元に戻ったものの・・魔法陣が発動しなかったんだと。
オリクト「回数 制限が‥あるなんてな・・」
ルア「道具というのは、そういう物よ‥」「万が一 使えなくっても、ルアさんが居れば 戻れるから、大丈夫じゃないっすか?」
ルア「まぁ、私が居れば・・ね」
オリクト「そう思うと、俺らが別々に行動してたら‥。誰か、戻って来れなかったかもな・・」・・確かに。
別々に取りに行っても‥なんて、エレヒアは言ってたけど、その時は‥それぞれに、持たせてくれてたかも知れない。でも、俺やオリクトが要領 悪く行動してたら、すぐに・・。
ルア「じゃあ、行くわよ」
俺もオリクトも、ルアさんに頷き‥パリンッ って音と共に、発動した魔法陣。
一瞬で‥アソオス城の広場に到着した。事前のエレヒアからの連絡と、前日の・・ルアさん訪問で、すんなり通される。
国王「‥すでに、呼んでおります」
ルア「恐れ入ります」
兵士「‥アルヒ・エオニオ様が、到着なさいました!」そう言うと、一人の貴族だろう・・。入って来て‥王に挨拶した後、俺らの方を向く。
国王「‥ルア殿、これが エオニオ家、現 当主のアルヒだ」
ルア「お初にお目にかかります。エオニオ様…」
アルヒ「‥こちらこそ。いつぞやは、我が愚妹が、ご迷惑を‥」
‥以前、魔物に変化してまで‥俺たち『 聖竜 』のレスカテ王子を襲い、挙句に自分の息子が居る『 炎竜 』にまで攻撃してしまっていた王妃。その‥兄にあたる人のようだった。
アルヒ「『月の滴』に関する事は、当家までお越し頂きたいのですが、よろしいでしょうか?」
俺らは立ち上がり、王に挨拶すると‥すぐさま、城の入口に止めてあった馬車に乗り込んだ。オリクトが‥ちょっと、窮屈そうだ・・。
馬車で少し進むと、着いたらしい。早かった・・。
オリクト「軍に居る時に乗る奴は、天井が無いタイプだったから、気にならんかった。だが‥普通のは、俺には小さ過ぎるな・・」とボヤく。
「ってか、軍のは屋根 無いんだ」そうだぞ!と何故か自慢気・・。
ルア「2人共!遅れないで!」とルアさんに急かされて・・屋敷に入り、何枚ものドアを通り過ぎ、突き当りの廊下で立ち止まる。
? そこには、額縁 し か 無い。
しかも・・・何も書いてない・・。真っ暗な・・。何だ?
当主は、その額縁を外すと、今度は俺たちを‥2階の とある一室 へ、連れて来た。そして‥持ってきた額縁は、元々そこに在ったのか?という程、しっくり来る場所にかけられた。直後・・・。
『アルヒ‥私の涙が、欲しくなったの?』
「えっ?! 誰??」
ルアさんも、オリクトも周囲を見渡すけど、誰かが居るような感じもしない。
当主は、カーテンを閉め‥部屋の中心に‥小さく灯す。
アルヒ「‥あぁ。私が・・ではないがな‥」
『アルヒじゃないの?‥じゃあ、アバリシアなの?』
アルヒ「違うよ。‥他の国からの、お客様だよ」
『アルヒ、私‥出て来ても良いの?見てみたいわ』
アルヒ「ルア殿、よろしいか?」
ルア「‥関係しているなら、お願いします‥」
当主は、頷いたのだろう。
額縁の何も書いてない‥中心から、光る‥頭?!
俺たちは、何が出て来てるのかも分からず‥身構えた。
『ふぅ~ 久し振りに、出て来れたわ‥』
‥ぼやっと光ってる・・女性が現れた。
ルア「‥あなた・・は?」
『私から名乗るの?まぁ いいけど‥』
アルヒ「いえ。私がご紹介 致しましょう。こちらは、エルグレインのルア殿、セグナートのオリクト殿‥そして、アルシルトのユナム殿ですよ」
『まぁ!そうなの?‥それに、アルシルトはミルゼアなのね!』
俺・・アルシルトに、いつの間にか‥なってたらしい・・。
アルヒ「皆さま、こちらは‥我が家の守護精霊 ラーヘブザラーム様です」
『よろしくね』
精霊様・・?! すげーのが、出て来たな・・。
ルアさんが、口を開こうとした時に、精霊様が 近づいて来たのが分かった。
『ふむふむ。なるほどね‥レスカテ王子が呪われてるのね』
ルア「話したのですか?!」
アルヒ「いえ‥精霊ですので…。条件下でなければ、私でも話せません」
『ルア‥名前‥素敵ね。だから、あなたは コ コ に 来たのね』
ぇっ て言う‥ルアさんの声が、小さく漏れた‥。
『ルア、この中で‥私の涙を受け取れるのは、あ な た だけ』
『ミルゼアくん と セグナート は 居ても役に立たないから、別室に居れば良いわ。アルヒ、お願いね』
アルヒ「‥畏まりました」
ルア「待って下さい!‥私が受け取れる理由は‥何ですか…⁈」
「ルアさん?」俺は、ルアさんの‥聞き慣れない、緊張して震える声を聞いて‥気になった。何だろう?
オリクト「ルア?」オリクトも気になったみたいだ・・。
『他の人に、聴かせても良いの?‥なら、話すけど・・』
ルア「ぇ…」
俺は何だか、聞いたらダメな気がした。オリクトに声をかけ、アルヒさんの促すまま、部屋から出て‥「ルアさん、頑張って下さい」と声をかけ、扉を閉めた。
そして そのまま、隣の部屋に招かれる。ベッドも置いてある客室だ。
アルヒ「長くて‥一晩は掛かりますから‥。こちらで、お待ち下さい」
・・アルヒさんが、部屋から出て…数分もしない内に・・壁から・・。
『‥ねぇ‥ミルゼア・・』 ん?
俺はベッドの所で‥横になっていた。隣との壁際だったからか、精霊の声が聞こえるんだけど・・気のせい?
『気のせいじゃないよ。ミルゼア‥』 「で‥何?」
『ルアの話‥教えてあげようか?』 ・・なんか、嫌な感じだ。
俺は勢いよく、起き上がって、ソファの方へ移動して座る。
うろ うろ してるオリクトに、声をかける。
あのまま、寝転がってたら‥要らない事、聞く事になってたかも知れない。
オリクト「何だよ?」
「魂の石を取りに行った、あの後の事を‥聞かせてくれよっ」
オリクト「‥そうだな。待ってる間‥暇だしな・・」
じゃ、こっからは‥オリクト視点での話になるぜ。
オリクト「お前らと別れた後は、ペルルに‥ついて行ったんだ‥」
俺は ペルルが、氷の坂を素手で触って‥登ってく事が不思議だった。
「おい…ペルル、痛くならないのか?」
ペルル「‥平気ですよ。最初は、大変でしたけどね‥」
ペルルの話じゃ、最初の内は大変だろうと、王から氷や崖を登る際に使われる道具を…渡されたらしい。それで行き来が楽になるだろう…って思われていた。
ペルル「確かに行きは、楽でした‥でも、帰りが・・」
行きに付けた穴により、ヒビ割れが起きて‥帰る時には、この坂が無くなって、断崖絶壁になってしまったらしい。
「帰れねーじゃねーか‥それじゃ…」
ペルル「そうなんですよ。でも、氷竜さまの ご加護で、戻れたのです」
そんなのは居ないだろ・・と 俺は言ったんだが、頬を膨らませて怒ったペルルの顔は、俺の娘が怒った時に そっくりで・・・。
ペルル「居ます! 崖になってしまった所を…降りようとしました。でも落下してしまい‥。ぼくは死んでしまう!・・と、思ったのです。その時・・」
ふわっとした、光の粒が‥ペルルの周囲を回って、体が浮いたようになって・・。部屋の一室に戻されたんだとよ。不思議な体験は、1度だけじゃなく、その後も、度々起こったらしい。だから、存在を信じた‥と言う。
ペルル「見えない‥ですけど、居ます!」
「分かったよ‥」
ペルル「オリクトさん!ここまで登れば、あとは歩いて行けますよ!」と立ち上がるのが見えた。
俺の手の皮は厚いから、氷だろうが‥へっちゃらだけどよ・・。ルアとかユナムは、難しかっただろうな・・。
ペルル「オリクトさん、この先に祭壇がありますよ」と、手の先が見えない。
「おい…どうなってんだ・・そりゃ?」
どうやら、この境めが‥ 竜 の 結 界 らしいな。
ペルルが消えちまった先へ、俺も勢いよく入る。
・・・・なんか、暖かい?気がする・・・。
石の地面には‥雪は積もってないし、凍ってない。かなり広いな。
ペルルが指さす先に、小さな石碑と‥白い?‥いや、青い輪郭の花が咲いている。俺は花に興味無いし、知らないが・・。一輪 貰って・・。
ペルル「駄目です!!オリクトさん!」大声に驚いて、顔を上げる。
それは、竜の花と呼ばれる。で、許可無く摘むと、災いが起こる‥らしい。
「何だよ‥災いって・・」
ペルル「あなたにとって、一番‥胸を抉るような出来事が、起こります」
・・俺の・・一番・・王子の…。いや、嫁と娘の・・・・・。
ペルル「これは、氷竜 ヒョノスィエラ様が大事にしてる花なのです。誰も許可を貰う事は不可能です」
「‥そうなのか…。残念だな・・」
俺は辺りを見てみたが・・・「で、どこで何すりゃ良いんだ?」
ペルルが、祭壇前の・・フィエルテ国の紋章が、彫られてる場所に‥。
俺は、連れて来られ・・跪くように言われる。
ペルル「願って下さい。王子の呪いを打ち砕く為に。氷竜様に、望んで下さい。・・魂の石は、あなたの願いによって、形 作られるはず ですから‥」
俺は‥跪いた姿勢のまま、目を閉じ・・願った。
どうか、レスカテ王子の呪いを解除する〈 魂の石 〉を、俺に授けて欲しい・・と。
何度か、同じ事を繰り返し、思っていた。
すると・・閉じてるはずの目の前が・・明るくなってきて・・。
『‥おぬしにとっての王子は、どのような存在なのだ?』
俺にとっての王子は…幼少時から知っていて、共に訓練し、共に戦って来た友であり、家族に近い存在だ。
『‥おぬしにとって、竜とは‥どのような存在と思っておる?』
‥竜? おれら、レスカテの聖竜様・・と言いたい所だが、実際に目にした訳でもねーから、俺は・・竜の絵で、見ただけだ。
・・俺にとっての、竜は‥賢王である国王と、その息子である王子だ!
『…なるほど‥良かろう。両手を前に・・』
そんな声に言われるままに、前に両手を出す。ふいに 何か掌に乗った。
「オリクトさん!掴んで!」声に合わせ‥それを掴んだ瞬間、目を開く。
目の前には、虹色の光を帯びた岩のような物が‥そこに在った。
そして、ペルルの体が‥光の粒に、包まれるのを見た。そんで、俺の体も浮き出して・・「何だこりゃ?!」って驚く俺に‥「それを離したらダメですよ!オリクトさん!」って言う、ペルルの声。
一瞬 白くなったかと思ったら、謁見の間に居たんだぜ・・。
オリクト「それで兵士が、おまえらを呼びに行ったって訳だ」
「へぇ~‥不思議な体験したなぁ‥」
「失礼 致します」とメイドが、飯を運んで来た。
・・明日には、ルアさんも‥きっと、手に入れてるんだろうな・・・。
【簡易 魔法陣】特殊な鉱物で出来た板に、アソオスの技術・人工魔法陣を小さくして、魔力を溜める、魔石が組み込まれている。投げ割って発動する。1日 約3回まで。翌日には復活している。魔力は使う者からではなく、大気に漂う微量な‥魔力を吸って蓄えるらしい。1日分の魔力を使い切ると、割っても魔法陣は発動せずに…板が戻るのみ。
【アルヒ・エオニオ】( アルヒ=ギリシア語・始まり / エオニオ=ギリシア語・不変 ) アソオス王妃・アバリシアの実兄。エオニオ家は、代々‥闇の属性に耐性を持つ家系。闇の禁術も、地下深くの倉庫に封印されているらしい。現・当主であり、妹のした事で、家が窮地に立たされていた。今は落ち着いている。屋敷は、アソオス城下町に在る。
【アバリシア】現・アソオス王の后。しかし、禁術により魔物に変化した挙句に、レスカテ王子と自身の息子までも手に掛ける所を、魔物として倒される。ユナムの機転により、復活する事が叶った。しかし同時に、己の犯した罪を認識し‥現在、城の地下深くに‥幽閉されている。アルヒの実妹。
【アルシルト】職業の名前の1つ。シルトレイが、魔法を武器として、組み合わせて使う者の事。
【精霊 ラーヘブザラーム】( ラーヘブ=アラビア語・修道士 / ザラーム=アラビア語・闇 ) エオニオ家を代々、守護する精霊。属性は 闇。初代に、様々な闇の魔術を授けたと言われる存在。その中には、いくつもの禁術があり‥悪用しないようにと、暗号化して封印した時にも、力を貸している。見ためは、年若い女性の姿をしている。いたずらっ子のような、言い回しをする。
次回‥月の滴を含む、3つの素材を持って・・戻ります。王子の所へ・・・




