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Ever Stride ~その先の未来は~  作者: KAMINO


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第22章 少年

コロモス国の儀式は、王子ひとりで行うからと‥見送る俺ら。


 王子が必ず、証を持って戻ると信じ・・・俺らは、それまで城内施設へ

1階にギルドや客室があると知ってるけど・・・2階は、何があるんだろうか?

 オリクトが部屋から出るのを見て、ルアさんまで2階へ行こうとしてたから、俺も2階への階段を登ろうとしてた。だけど、奥の‥ギルドの方から、揉めてる声が聞こえてきた。


 ・・・何だ?



 あのエルゥ族の受付のお姉さんが、なんか困ってるみたいだ。階段に乗せてた足を下ろし、ギルドの方へ 行ってみた。


 「ですから、こちらでは預かれません」



・・何を?


 「どうしたの?‥ユナム・・」

後ろから、ルアさんの声が聞こえたので振り返る。


「なんか、ギルドの方で・・・」

そう言って‥俺とルアさんは、ギルドの方を見る。



受付嬢「こちらの素材は大変貴重ですし、当方でも希少価値の高いものです。しかし、現在ギルド長が他国に出張しておりまして、お預かりする事が不可能なのです」・・・それだと、子供は 分 か ら な い んじゃないか?


男の子「でもっ 父ちゃんが、ギルドに持っていけば、必ず買い取ってくれるからって…」


 お互い、困ってるみたいだ。


 俺はルアさんに「どうにか‥して あげれないもんですかね?」と聞いてみた。ルアさんは、小さく息を吐いて、何度か頷いてから‥話している人達の方へ‥歩いて行くので、ついてく。


ルア「…ちょっと、良いかしら?」

そういうと、受付嬢と少年の間に置かれた”虹色の素材”を見てる。


俺も見た。 虹色に光ってて‥鉱石みたいな形だ。

・・うーんと、水晶とかの原石に近い状態って、言えば い い か?


ま、鉱石って言うより、宝石に近いように思うけど・・・。


 それに、さっき‥『貴重で希少価値が高い』って言うから、すごく珍しいアイテムなんじゃないかと思う。


ルア「…凄いわね・・・。原石を‥間近で 見れるなんて・・」

「そんなに、珍しいんですか? これ・・」

ルア「えぇ! これは、パボ・レアルの魔石‥リュクス・ストラーノよ! 滅多にお目にかかる事は 無いもの なの!!」


 これは、特にあれがどうで、こうで・・これは、どうでそうで・・・と・・めっちゃ、目をキラキラさせて‥力説してくれるんだけど、ぜんっ ぜん・・分からない。俺が微妙な顔して、理解出来てないのに気づいたのか、ハッとした顔をした後・・ひとつ咳払いして・・・。


ルア「・・と、失礼。でも、こんな貴重なものを、どうして あ な た みたいな子供が?」


 少年は、ルアさんを見上げて・・おずおずと口を開く。


少年「‥‥父ちゃんが、誰かに親切にしたら、貰ったんだって・・」

「なぁ、それって・・どんな相手だとか、そういうのは聞かなかったのか?」と、子供と目線合わせてかがんだ俺の方を、少年は向くと、首を横に振って「知らない」って答えた。


 こういう、希少で高価なものは、基本的にギルド長が管理してるけど、今はまだ、アソオスに居るらしい。・・・そういや、会った事あるな・・。


「そのギルド長って、イムベル出身の人ですか?」と聞くと、驚いた顔になった受付嬢のエルゥ族の人が、頷き「そうです」と言う。

ルア「ユナム、なんで知ってるの?」


 俺は、ルアさんに・・アソオスへ向かう船の中で、話した事があると言うと・・ルアさんも、話聞いたらしくて…思い出したようだった。


「これ、買うとなったら・・いくら くらいに、なるんですか?」

ルアさんが、なんか真剣な顔になって・・耳打ちしてきた。


 ・・・・マジ?





 ・・・城を建設するくらいの金額・・・らしい。



・・・。


「少年、もし買ってもらえても、君ひとりじゃ‥持って帰れないぞ・・」と言う俺に対して「そうでも ないわよ」と言う ルアさん。


 商人ギルドの証を出し、商人ギルドに手数料を払えば…お金を保管してくれるらしい。



 だけど・・・


少年「父さん、そういうのは 持ってないと思う」

ルア「とにかくあなたは、もう一度お父さんに話して、あなたひとりでは持って帰れない事と、ギルド長が居ないと替えてもらえない事を伝えないとね」


 少年は、少し考えて・・大きく頷いて「ありがとう!おねーさん達!」って少し走ってから「おにーちゃんもー!」って言って大きく手を振り、どこかへ走って駆けて行ったのを見送った。


・・・・でも、忘れてってないか?



受付嬢「どうしましょう・・。あの子、忘れていってしまったけど‥」


 他のギルドの人が、とりあえずギルドで管理してる‥アイテム保管場所で、一時的に保護魔法かけて保存しておく事にするしかない・・って話でまとまり、ルアさんがギルドの人では解けない保護魔法をかけて・・まぁなんか、条件付きの保護魔法だとか言ってたけど。


 あの子は、どこの子・・なんだろ?名前も聞きそびれたな・・・・。


 まぁひとまず、解決になったのかな?と思って、ギルドの人らに挨拶して、ルアさんは、ギルドの人とまだ話す事があるらしいから、俺だけ2階へ。




 2階は、アイテム屋とか武具屋が在ったり、鍛冶屋や服屋、食事処・・住宅も多くあった。普通に町みたいになっている。城を支える巨木の太い幹に、沿う形で作られてるからか、建物の数はそこまで、多くは ないようだった。


 少し歩いていると、子供向けのオモチャを扱う店に・・オリクトが居る。


 え?・・・(オリクトにそんな趣味が・・?)と思って、店の外で固まってる俺に気付いたオリクトが、買った商品片手に、店から出てきた。


オリクト「なんだ?ユナム、固まってるようだが・・どうした?」

 「オリクト・・それ・・何・・」


 オリクトが手に持ってるのは、獣の縫いぐるみだった。

それをチラッと見て・・・なぜか照れる!



オリクト「娘への土産だよ」と答える。


 ・・・娘 ? 


オリクト「俺にはレスカテ国に、嫁と娘が 居るんだよ。言って無かったか?」


 聞いてねーーーー!!


い、いや・・既婚者ってのは聞いた気がする。


 「それ、今 買ってどうすんのさ・・」

どうせ、すぐには帰れないのに・・・・と思ってると・・


話ながら1階へ戻ってきた、俺とオリクト。

オリクト「これとこれを、レスカテ国のギルドに・・」と小袋の・・たぶん、金と、ぬいぐるみを受付の兄さんに渡し、何か紙に書いている。


 受付「確かに預かりました。送っておきます。こちら、控えとなります」と、小さな紙を受け取っている。


・・・ギルド経由で、アイテムや金など送る事が出来るらしい。

 しかも、登録してる者の家族は、一度でもギルドに登録すれば、受け取れるらしく、オリクトは今回の儀式の旅に同行すると決まった日に、奥さんに登録してもらったらしい。


「そんな事、出来たんだ・・知らなかった」

オリクト「俺も知らなかったんだが、ルアのやつが、教えてくれてよ」


 小さな紙は、相手側が‥無事受け取ると、燃えて無くなるらしい。

ちなみに、この時 燃えてても、熱くないんだってさ。


・・でも、俺だったら・・普通にびっくりしてそうだな‥って、ちょっと思った。オリクトも最初は、びっくりして熱くないはずなのに「あちちっ」って言って、王子やルアさんや‥周りの人に、笑われたらしい。


・・・・俺、見てない ぞ・・・。


 各町で、やたらと出かけたがった理由も、奥さんや子供に『自分が無事であること』とかを知らせる為だったのだと・・知った。


「離れてるから、心配するんだろうな・・」と言いながら、なんだか両親の顔を思い出した。オリクトが、俺は こういうのはしてないのか?と聞いてきたが・・・そもそも俺、最初から 王子のお供をする予定 じゃなかったし・・。


 ある意味成り行きだったから、そういう話を両親には言わずに・・今に至るんだよな~・・。オリクトが、両親が恋しいか?と、なんかニヤついた顔で聞いてくるけど、俺はそんな考えは、全然無い!と断言すると「そうなのか?」と、なぜか驚かれた。


・・いや、普通・・・そうじゃね?


 家に居たら、農家になってたな・・・とか思うと、今の暮らしの方が充実しているし、やり甲斐もあるし。


正直な所、もし…旅が無事に終わっても、俺の旅は‥続ける予定だけどな。


 オリクトと昼飯くってると、どっか奥の方で‥子供の悲鳴が聞こえて来て、周囲の人間たちが警戒し始めた。店のある方(幹沿い)は、エルゥ族の人が多いけど、枝先の方は‥俺らと同じ人間が多く住む、住宅街になってる。


 路地から、全身 血だらけの子供が、飛び出して来た!


俺は、手にしてた肉挟んであったパンを、すぐさま食べると席を立つ!


・・知ってる、こ ど も だった! さっきの!!


 オリクトの「どうしたっ!?」と言ってる声を、背中で聞きながら、俺はその子に向かって走って行く!


「‥大丈夫か?!」

少年「あ・・お兄ちゃん‥えぐっ・・うぅ・・・ぅぅ・・父ちゃんが・・父ちゃ…」言い終わるよりも早く、子供は体の力が抜けたように 倒れそうになったのを抱きかかえた。


オリクト「ユナム、その子はどうした?大丈夫か?」と心配してくる。

「息はしてる。それにたぶん、この子がケガしてるんじゃないと思う」

 俺は、子供をオリクトに預けて、少年が来た道の先へ‥走っていく。


‥‥道に、血の足跡が続いてるのを‥逆行していくと・・・




 なんだ、こ れ ? 



 道の右手に家が在ったのだろうって場所には、無残に破壊された後のようで・・・ひとりの男性が‥血の中に・・横たわっていた。 あの子の親か?


 ・・・周囲を警戒するけど・・誰も 居 な い 。


首に手を当てると、微かに脈を感じる。まだ、生きてる!

『だれ・・だ? 息子は・・無事・・・か・・・?』声にならないような声で、男は‥しゃべった。

「あぁ。無事だ! 俺の仲間が守ってる」


少し、笑ったように思った。「おっさん!死ぬな!」


 俺は、男を起こそうとすると、その血だらけの男が、俺の手を掴み・・・

『…駄目・・だ。あい・・つら、は・・・まだ、近く・・・に・・い‥る・・はず…』という。だけど、そんな気配は無い。直後、真後ろからの攻撃を察知して、腕の盾でガードした! 舌打ちして飛びのき、赤い服の相手は・・・すぐに、どこかへ行ってしまう。


 ・・・ぁ・・あ‥っぶねーーーーー・・・反応出来て、良かった。


 途端に、息が荒くなる自分に気付き『落ち着け』って息を整える。警戒してたから、反応出来たんだ。おっさんが言ってくれなかったら、警戒を解く所だった。


 「ユナム!」と横から、ルアさんやオリクトが、やってきた。少年も一緒だ。ルアさんが、俺の傍で倒れてる人を癒してくれて、オリクトも警戒してる。少年は、心配そうに‥おっさん・・父親を見てる。


治されたおじさんも、キレイにされて立ち上がれるようになった。

「何があったんですか?」って俺が聞こうと声をかけると、ルアさんに止められる。


ルア「ハント・ゲフェングニス!」と唱え、俺たちを覆うように、何かに包まれた。「これでしばらくは、安全に話せるわ」とルアさん。


 おじさんは、座り込み・・オリクトの上でから降りて来た少年は、父親が無事だった事を…泣いて喜んだ。 良かったな・・。


 少年の父親は、俺たちにお礼を言い自己紹介を始めた。

俺たちも、同じように座り、こちらも名乗る。


 ・・・一体、あいつらは・・・何だったんだ?

なんで、この人らは・・襲われた?


・・・とにかく、話を聞いてみないとな。

【パボ・レアルの魔石】(パボ・レアル=スペイン語・孔雀(くじゃく)/リュクス=フランス語・豪華/ストラーノ=イタリア語・奇妙)リュクス・ストラーノというランク。かなり希少価値の高いもの・・という意味。コロモス国に生息し、その羽1枚1枚が、様々な効果を持つ羽で、大昔に乱獲された為‥今は数が少ない。その獣が命を全うする時に結晶化した物。なので大変価値が高く、城を作るくらいの費用と同等と言われている。基本的に高価なアイテムは、ギルド長の持つ保管場所での保管が義務付けられてるらしく、居ない場合は、買い取る事も不可能とされている。


【冒険者ギルド※補足】サービスのひとつで、登録者間のアイテムや金銭の受渡しなどが行える。お互いが登録している事が、前提条件ではあるが、冒険者の親類など『冒険者の仕事が出来ない人』でも、関連付ける事で利用出来る。送る際には、どこで受け取ってもらうかを伝えて、ギルド間の簡易転送陣で送ってるらしい。一応、金額や物の大きさなどの上限はある。登録の際に説明されてるが、知らない人の方が多い。なお、手続きにお金は必要無い。送る書類を書いた後にもらう、小さな紙は魔力付与されたもので、実は紙では無いが、相手側が受け取った時点で、燃えて無くなる。燃えるが、ケガをするものではない。慣れてないと驚く。


【簡易転送陣】※ギルド専用・魔法陣の一種。

正四角形の板に白い魔法陣が描かれていて、その場所と別の場所を繋ぐ際に、国色(こくしょく)に染まり、アイテムや金銭の転送が可能。大きさや量、重さなどが決められているが、ギルド所属の所員なら誰でも扱える。


【コロモス城内・中層】2階部分。

城も支える巨木に沿う形で作られてる町。城”下”町ではなく、いうなれば城”上”町になる。幹沿いにはエルゥ族の宝石店や服屋、神殿などがあり、樹の内部に住まいがある。道の反対側には、移住してきた人間たちの武器屋や飯屋があり、住民の家が立ち並ぶ。現在は、これ以上受け入れられないらしく、誰か他の国などへ引っ越さない限り、新しい人は入れない。定住しない冒険者や商人は歓迎らしい。


【ハント・ゲフェングニス】中級・保護魔法のひとつ。

(ハント=ドイツ語・手/ゲフェングニス=ドイツ語・(オリ))

両手で守るような形に空気の層が出来、中に居る者を強固な檻で守る保護魔法。一時的に使う魔法で、効果は長くて半日しか持たない為、あまり使われない(ルア談)。いつも野宿の際などに使う保護魔法は、解除の呪文を唱えない限り、半永久的に術師の魔力尽きるまで効果がある。


次回、赤服の正体と狙われた理由・・・

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