第12章 討伐
アソオス王子たちとの合流を果たし、ユナムもアイラに再会。
謎の魔物を倒す為、共闘という形を取る事になった。
特殊魔物として登録されたファルチェ・デリットを無事、倒す事が出来るのか?!
40階層で合流し、41階層へと足を踏み入れようとしていた。
あのファルチェ・デリットは、俺たちが遭遇した際・・ボスの部屋ではなく、普通の通路に出現していた事を踏まえ、いきなり襲われる可能性も考慮して配置を決めていた。
前衛4名 アイラ・オリクト・アソオス王子・ルア
後衛4名 ヘルト・ユナム(俺)・レスカテ王子・ベルク
後衛と言っても、そこまで離れてない。
なおステッラさんは 危険 という事で、1階層で待っててもらう。
前衛で、攻撃力高め+ルアさんの回復魔法
後衛も、俺とベルクさんがアイテムで回復(ベルクさんは回復魔法も少しある)・・という形となった。
前衛は、敵を見つけ次第 攻撃開始となる。
アイラは、ルーヴェルになってるから前衛の一番前となった。
俺が後衛なのが、ちょっと・・と思ったりもしたが、ルアさんから王子を守ってと言われる。前衛の動き次第では、後衛と前衛が逆になる事も作戦の内だ。
ふたりの王子が「行くぞ!!」と言い、魔法陣に入って前衛・後衛の順に乗り、起動される。魔法陣が光り、空間が開けたと思った矢先!
『 グ レ イ ン ス ウ ェ イ 』
着いた早々に、地面全域が揺れ、立っているのがやっと・・で・・・
アイラ「鎌女居る!」
アソオス「作戦開始だ!」
ルア「ストラター!」全員に防御アップ来た!
ヘルト「ユナム!動くなよっ」
俺は、シュトル唱えてアイラの所へ飛び出しそうになってたのを、止めてくれた。王子の傍を離れたら作戦に穴を開ける事になりかねない。
俺はすぐさま、ヘルト・・(オリクトと同じ理由)に、謝るが「謝るより動け」と言われる。
『 カ ウ フ ・ ザ ラ ー ム 』
突然周囲が暗くなる!直後 俺は、いつもの夢でも見てるかのように王子やオリクト、アイラ、ルアさんがあの大鎌によって、次々殺されていくのを見る!
みんなが居るだろう所で、それぞれ悲鳴や叫び声が聞こえる!!
これは・・マジで起こってる事なのか?!
「セラフィム・・ドレア!!」とルアさんの叫ぶ声が聞こえたかと思った瞬間、教会の鐘の音が響き、周囲は明るく照らされる。
鐘の音が響くごとに、光の波動がファルチェ・デリットの肉体を何度も光の束で包まれて行く! ・・・鎌女の悲鳴が聞こえた!
ルア「みんな!意識しっかり持って!! 今のは ただの幻覚よ!!」
光の中、みんなが無事だとお互い、確認し合う。
アイラが半ば怒り口調で・・・
アイラ「あんたねぇー!!マジかと思ったじゃないっ!!」
と言いながら切りつけ、フルゴル(魔法の入った瓶)を投げつけていた・・・のが見える。
と、それまで前衛の攻撃を受けてた、ファルチェ・デリット・・・
あーもーー・・・めんどっ・・!!
・・鎌女は、後衛にも大きな鎌を振り下ろしたり 薙ぎ払ったりした 衝撃波 のようなものを飛ばしてくる。
それを回避するのは、わりと簡単なんだ。
何度めかの衝撃はを回避した直後、レスカテ王子の目の前に瞬時に現れ・・
『ディーフェクトゥス』と言ったかと思った時には、王子は左腕を食い千切られたような状態に!!?
「王子!」俺はすぐさま、回復薬よりも強力だという『ラフマー』という薬を王子にかける!
攻撃は、ヘルトとベルクさんが防いでくれている!
前衛も、こっちに戻ってきている・・。
回復薬の効果以上の速さで、傷が回復してる!
王子は苦しそうだったが、ある程度戻る頃にはオリクトが王子の傍で攻撃を防ぐっ・・鎌での攻撃は隙が無いような動きを見せてる。
でも・・と、俺は考えた。半ば俺も怒っていたんだろう。
鎌女と・・それ以上に不甲斐ない自分に対しても・・・・。
だから・・・
俺は戻って来たアイラに声をかける。
俺「アイラ、子供の頃の・・アレ・・・やるぞ・・・!」
アイラは気が付いてくれたみたいに、横に立ち武器を構える。
アイラ「あんたが先行の アレ ね!」
俺「あぁ、続けざまにアイラ先行のも叩き込むぞ!」
アイラ「イイわよ!」
俺はシュトルと唱え、直後に走り出す!
鎌女は、俺に気付き鎌を振り下ろして来るが俺が避け、瞬間切りかかる!それを後ろに回避した・・直後「いらっしゃぃ♡」とアイラが短剣で攻撃!
急所だったのか、鎌女は身じろぎながら叫ぶ!
アイラ「ユナム!遅れないでょっ!」と、ジャンプ!
空中で一回転して「エッジ オン!!」と風の刃を放つ!
俺は「フレーヴァ!」と炎の柱をアイラの放つ技に重ねる!
アイラ&俺『奥義!マリシオーゾ!!!!』
俺は下から、アイラは上からそれぞれ、上下交差するように切り裂く!!
かなりの致命傷を与えれたようで、宙に浮いてたが、地面に落ちていた。
アソオス「炎煉華福!」
アソオス王子の持つ、2本の剣に黒く赤く揺らめく炎が宿った!
直後、走り出し・・鎌女に剣を突き立てていく・・鎌女も鎌を振り回しているが、王子には届かない。
まるで、舞を見ているかのような・・流れる攻撃の刹那、青い炎が赤黒い炎と混ざって紫色の光となった直後、敵の急所を突き・・・・バサッ ドタッと重い音を立ててその場に鎌女は倒れる!
同時に、大きな鎌は消え失せた・・・・。
みんなの、息切れが・・聞こえる。
・・・・・ホントに や れ た のか?
普通の魔物なら、ボスを含め全て・・・倒すと、素材を残して 塵 となる。
鎌女は・・・なってない・・・どういう事だ?
アイラがアソオス王子に駆け寄る。
直後『ひっ!』と声のような息のような声を発し、青ざめていた。
レスカテ王子の方へ走り出してた俺は、その声に振り返る。
ルア「どうしたんでしょうか?」
あの時も、あの敵は・・・逃げて行った・・・。
逃げられた・・とか?
いや、そんな感じはしない。
オリクトが王子を抱え、俺らもアソオス王子たちの所へ行く。
俺たちが近づいていくと、ベルクさんもヘルトも・・アソオス王子すら、血の気が引いたような顔をしている。
俺「アイラ、どうしたんだ?」
アイラは、青ざめて俺を見て・・・引きつった顔で・・
アイラ「ころしちゃった・・・」
俺「・・・ん?・・鎌女・・・だろ?・・」
レスカテ王子も、鎌女を見る・・・俺も、オリクトも、ルアさんも・・・
・・は?・・・・え・・・何?? どう・・いう・・・・事なんだ?
・・・・意味が 分からない。
俺「いや・・オカシイだろ・・だって、俺らにだって・・よくしてくれて」
ルア「そんな・・・・どうして・・この方が?・・え・・・待って・・」
俺含めて全員が、固まってしまった。動揺した。
謎の魔物・・強敵だった・・・。
だから、アソオス王子と協力関係になって・・共闘して・・・・・
アソオス王子は・・・・・
唇を噛み締め、拳を固く握り過ぎて血を流して堪えているようだった。
ベルク「王子・・・みなさん・・」
青冷めつつも、ひとり冷静な態度(やや震えているようにも見えた)で・・ベルクさんはアイテム袋から小さな『プチクロワ』を取り出し 鎌女だった者に投げる。鎌女に当たった瞬間に吸い込まれ、それを拾い また袋に入れるとアソオス王子の肩に手を置き「戻りましょう」と言う。
ルアさんも、ベルクさんに従い・・・みんなを誘導。
俺も、王子の傍に行く。
魔法陣は使えなくなってたから、ショーポットで帰還。
全身ボロボロな俺たちは、それぞれの拠点で落ち着くまで休息となった。
・・・こんな事って・・・・・。
でも、何か・・オカシイような?・・いや、分からない。
というより、疲れ過ぎてて・・何も・・・考えれない・・・・。
ルア「ユナムも、少し 眠るといいわ・・・」
オリクトが王子をベッドに寝かせ、武器などを外す。
ルアさんも、王子の傍に座る。オリクトがルアさんにも「休め」って言ってるのが聞こえる・・頃に、俺は眠った・・・・・。
消えるはずの・・ 魔 物
消えなかった鎌女・・・本当に”女”ではあったが・・・・・ぐぅ・・すー・・
一方その頃、アソオス王子の拠点内では・・・
ヘルト「一体、どういう事なんだよ?!なんで、あの・・」
ベルク「分かりません。一度、城へ戻る必要があります」
王子「・・そうだな・・・王が・・父上がご存じか・・確かめねば」
アイラ「今すぐ行くのですか?」
王子「すぐ着替えて行くぞ!ステッラっ」
ステッラは、頷き動き出す。
王子の部屋の奥の何も無い空間に、着替えたメンバーが中央に立つ。
入口の隅で、詠唱を始めるメイド。
魔法陣で、城へと戻る王子たち。
「すぐさま王への謁見を!」悲しみの混じった大声で王子は謁見の間へと急ぐ。
そして、謁見の間に居た王は、やや怒り気味の息子に驚く。
「父上!」
「・・・一体、何事だ・・・?・・」
メンバーの3人も・・やや息を切らして謁見の間に到着する。
「ともかく、落ち着いて話なさい」
・・・そう言うと、謁見の間から…別の部屋へと移動する。
そして・・・・一連の戦いを王子は、王に話す。
謎の魔物の正体が [ 人 ] であった・・と言う所で、王もまた、青冷めた。
王は、知 ら な か っ た 。
しかし、王は・・何かに気付く。
王「亡骸は、どこにある?」
ヘルト「ココに仕舞ってございます」と、あの プチクロワを取り出し、王の前へ差し出す。
王「他に、この事を知る者は・・?」
王子「レスカテ王子一行です」
王は、側近を呼び・・何か伝える。
王は 深い溜息を吐き ・・額に手を当て・・・
「あの者達が来るまで休んでいなさい」と言い王子たちは客間へと移動する。
部屋に着いた王子たち・・・
ヘルトは、ベッドに倒れ込むや「ぐぉぅ・・」と言って即寝てる。
アイラ「私は起きてます!」と言ってるが、眠そうな顔をしているアイラを見て、ベルクは・・いつもの言葉を伝える。
ベルク「僕が起きてますから、アイラさんは眠って下さい。王子も・・」
アイラ「そうですか?・・じゃあ、ベルクさん、王子・・おやすみなさ・・ぃ・・・すぅ・・・」
王子「・・・」思いつめた顔で溜息のような息を吐く
ベルク「王子・・・・少しでも休んで下さい」
王子は しぶしぶ、横になる。・・眠れそうにない顔で・・・・。
ベルクは、王子が眠れないのを知って傍で本を広げ、何か書きだすのだった。
それは、彼にとっては日常の事。
ヘラジの塔の拠点で寝ていたが、ルアさんに起こされる。
どうやら、アソオス城からの通達で、至急 城へ来て欲しいと言われたらしい。
急いでと言われて、ボロボロの姿のまま・・竜騎士の馬車で空を飛び城へ向かう事になった。
王の呼び出し・・・。つまりそれは、あの魔物と思ってた者の事だろう。
どうなるんだ・・・俺たち・・・。
みんな、察して・・・・誰もがひと言も話す事無く、城へと到着する。
一旦、客間に通される。
風呂や服や食事まで用意してくれて・・その後、大広間を抜け、庭園の中央まで連れてこられる。
その先に、アソオス王子やアイラたちが居た。
・・アソオス王も、そこに居た。
円形のテーブルとイス。それぞれ座る。
俺も・・・全員座って、やっと話が始まるようだった。
王「話は、あらかた聞いておる」
アソオス王子「そなたたちも、当事者ゆえ・・来てもらった」
王「謎の魔物の話は、聞いていた。わしも多忙ゆえに、アレをずっと見ててやれはせん」
ベルク「聖竜のみなさん、お察しの通り。
魔物と思っていたファルチェ・デリット・・
通称・鎌女は・・・アバリシア・・でした」
・ルーヴェル 職業のひとつ。短剣と魔法瓶を扱える中級シーフ。
【グレインスウェイ】岩属性・上級魔法・全体攻撃
そのフロア全域くらいの規模で地面を揺らす魔法。魔法で亀裂は走るが、ダメージは受けても魔法で壊れてるだけなので、魔法の効力が消えた瞬間に床は元に戻る。
【カウフ・ザラーム】闇属性・中級魔法・全体攻撃
(カウフ=アラビア語・恐怖/ザラーム=アラビア語・闇)
黒い煙を自身の周囲に広げ、その暗さに包まれると、それぞれの”一番の恐怖”を見せ発狂させる禁術。
※禁術は大昔に封印され失われたとされてる魔法のひとつ。
【セラフィムドレア】光魔法・光奥義魔法・全体攻撃
聖なる鐘の響きと光を収束した力の波動で闇を祓い、人々を勇気付け魔を退ける力を放つ。上級の上が究極でその上が奥義。かなりの詠唱時間や集中力と魔力が必要。誰でも扱える魔法ではない。
【フルゴル】魔法の力が宿った魔法瓶のひとつ。光魔法・単体攻撃用・ルーヴェルが主に使う※どなたでも使えます。取り扱い注意。割る事で魔法が発動する。
【ディーフェクトゥス】闇魔法・上級魔法・必中効果・単体攻撃
(ディーフェクトゥス=ラテン語・蝕)
相手1人に対しての必中効果で言葉が唱えられた直後に発動し、相手に致命傷を与える魔法※禁術
【ラフマー】ギルドに居た、女商人から譲り受けた薬。
(ラフマー=アラビア語・慈悲)
通常の回復薬は、高い効能でもちぎれた腕や足は元に戻せない。治療院に居る者やレミエールくらいの力を持ってる者でないと危うい。ヘラジの塔へ行商に来ていた女行商人から、謎の魔物に対抗する為の準備してるとユナムが言った事で、タダで1つくれたもの。ただし急速に回復させる為、疲労感が半端ないらしい(レスカテ王子談)。レミエールのレアニマシオン(スペイン語・蘇生)くらいの威力があると後で判明。
【ユナムとアイラの”アレ”】子供の頃は、共に訓練していた。その中で編み出した『必殺技』のようなもの。弱い魔物との戦いで試しては、また作りの繰り返しで・・旅立つ1年前に完成していた技。
ユナム先行の技には、これといって名前はついてなかった。というより、ユナムのネーミングセンスは微妙で全てアイラに却下されてたせいでもある。
【エッジオン】風属性・初級魔法・単体攻撃
鋭い風で作った刃を飛ばす魔法。最初は1枚の刃しか飛ばせないが、使い続ける事で何枚もの刃を作れる。今回は、3枚。
【フレーヴァ】火属性・初級魔法・単体攻撃
火を操り炎にして渦を巻き火柱にして敵1体を丸焼きにする魔法。種火・ヴァルカ(焚火用の火を起こす魔法・基礎魔法)を使い続けると覚える魔法。基本は単体攻撃だが、本数が増やせれば、全体攻撃も可能になる。
【マリシオーゾ】
(マリシオーゾ=ポルトガル語・悪戯好き)
子供の頃にユナムと編み出した連携技で、アイラが先行して戦いだす技のひとつ。
名前は、当時フェイン(先読みの力)の力が開眼したアイラに手を焼いてた大人たちから呼ばれてた、アイラのあだ名。奥義・・と言ってるが、ただ・・かっこつけてるだけ。
【炎煉華福】アソオス王子の王族剣技スフィダンテ(イタリア語/挑戦者)のひとつ。
アソオス王子や王が使える。両手に剣を装備するスタイルでこそ、その真価を発揮する。黒く赤い炎を纏わせ剣と剣が掠め合う度に炎の力が増していき青く光り、その力が混ざり合い紫のような色味になった時、攻撃力が跳ね上がる。なお、その技を発動してる時は舞っているかのように見える事から『炎舞』と呼ばれている。
【プチクロワ】(プチ=フランス語・小さい/クロワ=フランス語・十字架)
小さな、手のひらに収まるくらいの大きさの十字架(白に黒い草花の絵)を対象1体(大きさは関係無い)に当てると瞬時に収納するアイテム。使い捨て。割る事で中に収めたものが出現する。
【竜騎士】アソオス国の精鋭部隊・先遣隊は、年に1度アルシュ山の頂上の里に収穫物を受け取りに行ったり、王の命令で人や物を運ぶのが、今の主な仕事。戦いともなれば、真っ先に戦いに赴く部隊である。翼竜の幼体を訓練し兵と共に過ごさせ相棒として育てるのが特徴。幼体と相性が良ければ竜騎士になれる・・らしい。
次回、謎の魔物とされてた者の正体が判明! そして王子の旅が再び始まる・・・




