大手柄! 団子パーティ事件解決!
明くる日。
壱は新聞の一面に掲載された。
リビングのテーブルに身を乗り出して、美枝は大喜びで新聞を見せびらかす。
「大手柄ですって! よかったじゃないの、壱」
「にーに、すごいんですー?」
二子が美枝に聞くと、美枝はにっこりと笑って答えた。
「そうよ。壱が捕まえた犯人、極悪非道の犯人なのよ。闇オークションからの刀の収集だけでなく、ネットで特定した人物を脅迫したり、少年の誘拐もしたりしていたみたいね」
二子はわけがわからず、頭上に疑問符を浮かべている。
壱は大好物の団子を食べながら、げんなりとした顔をする。
「……ああ……。そういう趣味の人だったのか……」
「どうしたのよ」
「言いたくない……」
「何? 隠し事? 隠し事はしないって約束したわよね?」
壱は首がもげるかと思うくらいに、首をぶんぶん振り回した。
「でもほんと、今回だけは勘弁して。助けにきてくれてありがとうございました。でもほんと、これだけは口にしたくない。忘れたい。もうイヤだ! マジでイヤだ! 絶対イヤだ!」
「いーちー?」
「ダメ。無理。母上様にも言えないことだって、あるんですっ」
壱は団子を持ったまま、ソファから立ち上がり逃げ出す。
美枝が追いかけてくる。
「言いなさい!」
「いーやーでーすー!」
壱は廊下を走る。
二子も立ち上がり、二人のあとを追いかける。
「にこも、いれてー」
「二子は入らなくていいのよ。二子は壱と違って、隠し事もしない、いい子なんだから」
「えへへー」
天使の微笑に、美枝は癒されている。
この隙に、逃げてしまおう。
壱は学生鞄を持って、満足げな顔をして家を出る。
「いってきまーす!」