助けられて、助けていける探偵に
「うわあ、霧生って、ゲイだったの……」
「いや、あれは多分ニューハーフというやつだと思いますよ。ちょっとジャンルが違います」
鐘山は、壱が解いた縄を持ってきていた。
「こいつを縛っておきましょう」
「お願いします」
霧生が動けないようにしっかりと固定する。
それから、二人は彼の脚を掴んで引きずっていく。
重いので、二人で片脚ずつ持っているが、一m動かすのもやっとだ。
「あなたのおかげで、俺は助かりました。本当にありがとうございました」
「私こそ。霧生を懲らしめてくれてありがとうございました」
「銃とか携帯してなかったので、楽に倒せましたけどね。武術経験のないやつに脅えてたと思うと、自分で自分が情けなく思いますよ」
「監禁されていたのですから、怖いと思うのはふつうだと思いますよ」
「俺は、ふつうじゃダメなんですよ。こういうことには」
屈強な心を持っていないと、自分すら守れないじゃないか。
中学生だからとか、そんなことを考えていてはダメだ。
もっと強くならないと。
誰にも、心で負けちゃいけないのだ。
こちらを指差す、見知った人物。
三人組で固まっている。
「あ、壱」
「壱! 本当に、壱なの、テルくん!?」
「あのときの店員さん……」
壱は空いているほうの手を振って、三人に無事なことを伝えた。
「貴方のために、きてくれたんですね」
「はい。俺は、一人じゃ探偵できないんです。あの人たちの協力がなきゃ、探偵になれないんですよね」
彼らだけじゃない。
もっと多くの人に支えられて、今日も壱は元気に探偵をしている。
誰かに助けられて、誰かを助けられて、そんな探偵になりたい。
壱は強く、心に誓った。




