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団子食べたい  作者: 社容尊悟
3本目

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54/65

いざ敵地へ!

「いえ、違います。友達です!」

『あら、そう……。壱も不憫な子ね……』

 美枝の嘆きに、テルは微苦笑した。


 壱の母親を伴ってテルたちは、壱の奪還に霧生邸へと向かう。



 霧生邸は、壱の家から一㎞ほど先に座す。

 裏路地にあって、人里離れた場所で鬱蒼としている。

 如何にも悪人が住んでいそうな、居心地の悪いところ。

 門に蔦も生えていて、手入れがなされていないのが窺える。

 霧生と書かれた表札は、消えかかっている。

 稀に見る豪邸なのに、外見が褒められたものではなくて、もったいない。

 勝手に入ると、こちらが不法侵入の罪を被ることになる。

 だが、美枝は意気揚々と先をいく。

 テルとあやのよりも先へ先へと。


「ここが、誘拐犯のアジトね。テルくん、あやのちゃん、突入するわよ」

「……アジト……。っていうか、依頼人の彼女が探してた人間の家ですね」

「まさか、団子山くんが誘拐されてこの家にくることになるとは、思っていなかったので……」

「オレたちは、団子パーティに潜入するつもりだったんですけどね。大きく予定が狂ったな。これは壱のやつ、ショックだろうなー」

「壱は詰めが甘いところがあるからね。人の怖さを、あの子は知らないのよ。母がこの世で一番怖い生き物だと思っているから」

「団子山くんに、弱点なんてないと思ってました」

「そんなことないわよ? 弱点を見せたがらないだけなんじゃない?」

「えー、そうですかねー? あいつ、弱点だらけだと思いますけどねー」

「そういうところが、いいところなんですね。団子山くんの、そういうところが好きです」

 あやのはふふっとお淑やかに笑う。

 美枝も目を細めて笑った。

 壱とよく似ている。

「ありがとう。あの子のために、こうして助けにきてくれる友達がいるもの。あの子はいい友達に出会えたものだわ。ありがとう、テルくん、あやのちゃん。これからも、私の馬鹿な息子を、よろしく頼むわね」

「「はい」」

 そして、美枝は重い門を押す。

 不法侵入で訴えられようと構わない。

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