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団子食べたい  作者: 社容尊悟
2本目

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42/65

どす黒い感情を払いのけようとするテル

 両親がいなくなればいいのにと思ったこともあった。

 それを壱に相談したら、『そんなこと考えるなよ』とか言われそうで、勝手に想像して腹を立てていた。

 でも、先日の件で、壱がどう答えるのか、わからなくなってきた。

 もしかしたら、親身になって、オレを救ってくれるのかもしれないと。

 依存しているのは、オレのほうだ。

 綺麗すぎる壱を嫌っておきながら、裕福で幸せな家庭で暮らしている壱を嫌っておきながら、そんな都合のいいことを考える。

 こんな自分も嫌いだ。


 一人っ子のテルは、兄妹というものがどういうものなのか、わからない。

 壱が楽しそうに話すから、きっと楽しいものなのだろう。

 でも、テルの扱いは、変わらなかった気がする。

 長男だから、いずれは家を継ぐ大事な息子だから、厳しく育てられるのだろう。

 女の子は甘やかされて育って、羨ましいなとテルは思った。

 あやのみたいな子は、親に罵られたことも、ぶたれたこともないのだろう。

 箱庭で育った、お嬢様なのだろう。

 壱といると、劣等感を刺激される。


 あやのといると、自分の処遇を怨まされる。

 誰といても、自分は満たされない。

 なのに、誰かと一緒にいなければ生きていけない。

 中学生なのに、こんな汚い感情しか持っていない自分を、壱たちはどう思っているだろう。

 言葉では綺麗事ばかりを言っていても、壱も本当はどす黒い性格をしているだろうか。

 あやのも、実は性格の悪い成金のお嬢様なのだろうか。

 テルは首を振って、頭を抱える。


(……ダメだダメだ。友達を悪く言うな……壱は違う……あいつは、そんなやつじゃない……)

 次第に暗くなっていく感情を、テルは必死に制御する。

(あやのちゃんだって、いい子なんだ。オレなんかとは違う)

 一人になると、こういうことばかり考えてしまう。

 自分はどうしてこんなにも心が乱されるのだろう。

 オーナーのことを検索して調べるだけなのに、それだけのことが手につかない。

 テルはため息をついて、ぐったりと机に頭を預けた。

「……」

 テルはふと、思い出す。

 今日の体育での出来事を。

 不安そうな顔で、テルは呟く。

「壱のやつ……病院いかなくて、大丈夫かな……」

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