壱たちの調査は順調に進んでいく
「そうですね……。大丈夫だと思います。個人情報は無闇に教えるわけにはいかないのですけれども、そのくらいなら問題ないと思います」
新人だろうか。
店員が微笑んで言ったので、あやのはありがたく聞くことにした。
「ありがとうございます!」
その後も、あやのは言葉巧みに情報を訊き出していった。
好きなもの、特徴だけでなく、名前もゲットした。
住所だけは手に入れられなかった。
これはどうしたって、他人の口から訊き出すのは不可能だろう。
教えてしまったら、大問題だ。
だが全て壱に教えてもらった通りにやっているのだ。
あやのは、自分の演技力と壱の頭脳が恐ろしいと思った。
壱とテルはインターネットカフェに向かった。
あやのと連絡を取っているテルは、あやのから聞いた情報を元に検索し、壱は少ない情報だけで検索する。情報は多いほうが有利なので、テルのほうが正しい情報を得やすいだろう。
だが調べる対象がインターネットだから、ガセの情報に注意しなければならない。
壱は『八丁念仏団子刺し』をキーボードで入力して、八丁念仏団子刺しがどういうものかを調べた。
インターネットに載っている情報だと、伝説上の刀であることがわかる。
『刀を持った侍が斬ったはずの僧は、念仏を唱えながら何食わぬ顔で歩いていった。侍は刀を杖代わりに地面につきつつ僧を追跡したところ、道端の石が刀に刺さり、まるで串に刺さった団子のように見えたそうだ。僧は、八丁ほどの距離を、念仏を唱えながら歩く。そして真っ二つとなり絶命したという』
(へー。そういう由来なのか)
色々なサイトを辿っていくと、同じような内容が書かれている。
多少の違いはあれど、インターネットの世界では『八丁念仏団子刺し』は、このように定義づけされているようだ。
「団子に恨みがあったわけじゃないんだな、納得」
手に入れられたら折ろうと考えていた自分に、嫌悪感が走る。
レプリカとはいえ、刀を折るなんてとんでもない。
鍛治職人に無礼極まりない行為だろう。
壱は心中で謝罪した。
次に壱が調べるのは、個人のサイトだ。
刀が好きで収集癖があって、友人たちとパーティを開くほどであれば、個人のサイトを持っている可能性は大いにありうる。
収集癖のある者は、見せびらかすのが好きだという性格も考慮に入っている。




