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団子食べたい  作者: 社容尊悟
2本目
38/65

拗ねる壱

(しかもテルにはさんづけ。俺には苗字呼びで、くんづけ。この差って……)

 目を輝かせたあやのは、両の拳を握って、ふんっと鼻息を飛ばす。

「私、頑張りますね!」

「……何を?」

 あやのは指をぐるぐると回して、言い淀む。

 心なしか、目も回っているように見える。

「あの、その、あの、えーと…………あれです!」

「早くも老化が始まっている……」

 壱は呆れた顔でひとりごちた。


「あー、オレが説明するわ。壱の計画通り、あやのちゃんにはオーナーを詳しく調べてもらう。オレと壱はネット。壱、あやのちゃんは意気込んでるだけだからな」

「そうか、わかった。話し合いって……」

「ななな何にもないですよっ!? 団子山くんのことは話していませんからね!」

 激しく声が裏返っている。

 しかも、顔は茹蛸のように真っ赤だ。

 壱は口を尖らせて、小声でぼそぼそと呟く。

「俺だって、そんな話してるなんて、これっぽっちも期待なんかしてないし……。どうせ二人で楽しい話でもしてたんだろと思ってるし。俺が団子食べたくてたまらないときに、二人はテルさんあやのちゃんと呼び合って、仲睦まじく話し合ってたんだろうなとか思ってないし」

「あらら? 壱さんちょっぴり拗ねちゃま?」

「団子山くんって、面白いですねー!」

 あやのは嫌味のない笑顔で壱を褒める。


 あやのには調子を狂わされると壱は思った。

 壱は伸びをして、肩を回す。

 勉強漬けで、少々身体がなまっただろうか。

「団子食べたいけど、先に調べるか……。春日井さん、よろしく」

「私も団子食べたくなってきました。奢ってくださいね」

「何で俺が……俺が奢って欲しいくらいなのに。テル」

「オレ金持ってないから、むーりー!」

 テルは手を×の形にして、迫ってくる。

 不快そうな顔した壱はぐいぐい押し返す。

 あやのはクスクスと楽しそうに眺めている。

「遊びはこんくらいにして……」

 テルが言うと、壱たちは頷く。

 二人は既に帰り支度は整えていたようだ。

 壱は学生鞄を持って、教室を出る前に自分のロッカーに入れていたキャスケット帽を被った。

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