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団子食べたい  作者: 社容尊悟
2本目

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37/65

あやのは壱に淡泊だった

「俺のこのノートは、俺の基準ですから、他人がわかるかどうかまでは……。それを目標に書いてはいるんですけども」

「見せてみろ」

 教師に手を差し出されたので、壱はノートを手渡した。

 教師はノートをぱらぱらとめくって、感慨深そうに見入っていた。

 ふむふむ、なるほどと時折言葉を零す。

 教師は手をポンと叩いて、壱に真剣な眼差しを向けた。

「団子山。ノート……コピーさせてくれ」

「え!」

 こうして、壱のノートは公(おおやけ)に晒されることになった。

 聞こえが悪いのは、壱の私情による。




 漸(ようや)く補習から解放されて、壱たちは壱の教室で落ち合った。

 口をすぼめてテルが手を挙げる。

「よっ」

「あ、団子山くん。おかえりなさい」

「ただいま……って、何でおかえりなさい? おかえりなさいって言ったら……」

 何か不作法をしてしまったのかと、あやのが口元に手を当てて焦る。

「え? おかえりなさいって言ったらダメなんですか?」

「壱さんはめんどくさいところがあるからねん」


 テルがあやのの肩に手を置いた。

 あやのは合点がいったように、手を叩く。

「あ、そうなんですか」

「納得しないでくれる!? おかえりなさいって言ったらさ、春日井さんの家に帰ることになるんだけど。意味わかってて言ってる? だから……こんにちはとか、友達同士が交わすような挨拶でいいんだよ。春日井さんみたいな子は、変な人に捕まりやすいと思うしさ……」

 壱は額(ひたい)に手を当てて、長々と話す。

 悪巧みをしているような顔のテルが、あやのに吹き込む。

「壱は、あやのちゃんのことを心配してるんだよな」

「そうなんですか。ありがとうございます、団子山くん」

 淡泊な礼だった。

 好きな人だったら、こんな反応ではないだろう。

(テル、嘘ついたな……。春日井さんが俺のこと好きだなんて……真っ赤な嘘じゃないか)

「あ、そうだ。団子山くん、あのですね、テルさんと私、話し合ったんですよ」

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