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団子食べたい  作者: 社容尊悟
2本目

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30/65

ぐっすり眠っていた壱

 壱は一人が好きじゃないみたいだ。

 弱い自分を必死に隠そうとする、へたれた性格をテルは知っている。

 目を細めて、テルは壱に向かって言った。

「完璧じゃないからこそ……壱の人柄に惹かれるんだよなあ」

 それは、ここにいる全員にも言えること。



 自分のことを話されていたのを壱は知らずに、本当にぐっすり眠っていた。

 壱が目を覚ましたのは、午後の授業が終わる少し前のことだ。

 よだれを拭いて、壱は飛び起きた。

 いきなり身体を動かしたので、クラッと目が回る。

 寝すぎてしまったと頭を抱えて、頭を振る。

 壱は本気で悩んだ。


「うわ……どうしよ。まじでサボりになってるし……! こんなに寝るつもりじゃなかったのに……。余計嫌われる……。うわあ、どうしよ、団子食べたい団子団子団子」

 壱は壊れたように団子を連呼する。

 気持ちを落ち着けるには、やはり団子だ。

「よし。団子パワーが注入された」

 気を取り直して、壱はベッドから下りて教室へ走っていった。

 教室の前まできて、壱は気まずそうにドアを開けるのを躊躇う。

 授業の途中から教室に入るのは、入りにくくて壱は好きじゃない。

 注目を浴びる上に、睥睨へいげいされるのでちょっと畏縮してしまう。

 壱は小心者だった。


 みんなにどう思われているかとか、必要以上に考えてしまうのだ。

 人が好きだからなのか、人と喋ることが多いからなのか、壱は人一倍人の目を気にする。

 団子と向き合っているときは、割と平気なのに。

 団子がかたわらにいないときは、壱はふつうの人と大差ない。

 中の様子を覗き窓から窺い、壱は心臓を落ち着けるために息をつく。

「……はあ……」


 いきなり入るのは授業の邪魔になるので、ノックをした。

 話していた教師が話を中断する。

『入っていいぞ、団子山』

 名前を呼ばれて、どきっとした。

 壱はドアをゆっくりと開けて入る。

「失礼します……」

 予想通り、みんなの目が冷たかった。

 でも、一部の目は冷たくなかった。

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