テルの本音
「いっくん、かわいー」
口元を引きつらせたテルが気味悪そうに、小さい友達に向かって言った。
「可愛いって……」
小さい友達は両拳を口元に当てて、輝かせた目で腰を振る。
「だって、かわいくない?」
もし、テルが女子だったら、おまえのほうが可愛いと口にしていたはずだ。
テルはノーマルなので、こういう男子に対して可愛いという感情よりも、気持ち悪いという感情が湧き上がってくる。
自分がしているあのオカマ口調も、気持ち悪いのを承知でやっている。
そんな感情を持っているのに友達。
彼も、己の気持ち悪さを理解しているのだろう。
でも『自分を持っている』ことは、素晴らしいとテルは思っている。
小さい友達は柔和に微笑んだ。
「テルちゃんは、いっくんが大好きなんだよねぇ」
テルは面食らったような顔をしてから、神妙な顔つきになって本音を言った。
「どっちかと言うと、オレは壱のこと嫌いなんだけどな……。いちいち真面目に考えるし、よくあろうとするし、オレには理解できないタイプの人間っていうか。頭はいいくせに鈍いところあるし。そういうところうざいよな。でも、放っておけないやつだって、思ってる」
「わかる。全面的に同意。でも、テルが本音言うなんて、珍しいこともあるもんだな」
「団子山が聞いてたら、どんな風に考えるだろうな」
二人は頷いていたが、小さい友達だけはびっくりしていた。
「えー、みんなはそうなんだ。いっくんかわいいのに。ぼくはいっくん好きだけどなあ。そういう不器用なところがある普段完璧な人ってさ……一人になったら、さみしくて死んじゃうんだよ」
「……おお……。何か、黒い……」
「えー、ぼくは黒くないよ。純白の天使だもん」
「おれは、団子山くんは完璧なんかじゃないと思うけどな」
友達の何気ない一言に、テルは問う。
「それは要するに、努力家ってことか?」
「あー、そういう意味じゃなくて。無理して完璧なやつを振る舞っているような感じがするんだよなー。ナルシっぽいし。結構傷つきやすいやつなんじゃないかと」
テルは友達の顔をじっと見つめた。
友達は、顎に手を当てつつ、的確な言葉を吐いている。
壱が完璧なやつを振る舞っているとは同意しかねるが、見事なまでに当たっている。




