無類の団子好きを理解してくれる仲間が増えた
壱はニコッと笑う。
「喜んでもらえたなら、よかった」
あやのは恥ずかしそうに口元に拳を当てて咥えた。
「団子山くんって、思っていた通りの人で、とてもいい人なんですね」
(……癖?)
「明るくて運動神経もよくて、勉強もできて、先生たちからも一目置かれてるって聞いたんですけど……本当にその通りで、びっくりしました。何で彼女いないんですか?」
「えーっと……俺は無類の団子好きで……」
あまりのべた褒めに、壱は少々気恥ずかしくなる。
羞恥心で顔から火が出そうだ。
その無類の団子好きが病的で、狂っているから周りの人間に理解されない。
思春期の少年少女からすれば、異常な人には近づきたくないと思うのがふつうだろう。
でも、あやのは違った。
「それの何がいけないんでしょうね? いいじゃないですか。好きなものを好きと言って……何がいけないんでしょうか。人に害を与えるようなものじゃないのに。みんな酷い」
あやのだけじゃない。
昔からずっと友達をやっているテルもそうだ。
壱の性格を理解し、壱の団子好きを認めてくれている。
壱は、理解者が増えたみたいで嬉しくなった。
壱の頬が、自然と緩む。
「私は団子山くんの団子好き、いいと思います!」
「そ、そう……かな。ありがとう」
「というわけで、潜入捜査お願いします!」
熱の篭った瞳。
がしっと手を掴まれて、壱はあやののペースに流されそうになる。
「警察じゃないって。俺はあくまで中学生探偵。危険なことはできるだけしないから」
「あの、それから……私も一緒についていきたいんですけど……」
「うぇええ!?」
午前の授業が終わり、一息をつく。
午後の授業は眠い時間帯なのに開幕体育だ。
「……春日井さん、俺には手に負えない……」