文才があるかどうか、知りたいあやの
「えっと……」
あやのはわたわたと慌てた。
口で説明するのは困難のようだ。
ぐっと拳を握って、あやのは力強く言う。
「とにかく! 凄くいやなやつです!」
(あ、考えるのを放棄したな)
「特徴とかないの? あんまり情報がないと、こっちとしても捜しにくいんだよな」
「特徴……ですか……」
あやのはうーんと考え込む。
それも、言葉にできないらしい。
「……なるほど。春日井さんは、文章でなら、説明できる人か?」
あやのは、壱の推理にあっと驚いて口に手を当てた。
「す、凄いです。文章だと、私凄く偉そうになっちゃうんですけど……」
「ああ、作家みたいだなって思った。小説とか書くの好き?」
「好きです! 団子山くんもそうなんですか?」
「俺は、文章はあんまり書かないかな。文才とか、なさそうだし」
「団子山くんから見て、私の文章の腕は……どのくらいですか?」
勇気を出して訊いてくるので、壱は多少困惑した。
頬をかいて、愛想笑いを浮かべる。
「……俺、そういう批評とかはあんまり……」
壱がやんわりと断ろうとしているのに、あやのは食い下がる。
「どのくらいですかっ?」
押されると弱い。
「ふつう……かな。可もなく、不可もなくって感じ」
「そう……ですか……」
見るからに落胆して、この世の終わりみたいな落ち込み方をする。
非常に面倒だ。
これだから壱は答えたくなかったのだ。
頭を押さえて息をついてから、壱は補足する。
「もし今が最高だったら、それは嬉しいことなのか? 俺は伸び代がなくてがっかりするんだけどな。春日井さんはまだ中一だし、文章は書いていけば伸びると思う。文才とかはよくわかんないけど、まずは書きまくる……なんじゃないか? 文章とかはあんまり書かない俺がアドバイスするのも、おかしいと思うけどな……」
あやのはぶんぶんと首を振って、目を煌めかせた。
「……そんなことないです! ありがとうございます!」




