依頼人からの告白
指を差された女子は、恥ずかしそうにもじもじしている。ちょっと可愛い。
テルはニヤニヤして壱の腹を肘で小突いてくる。
「よかったなー。告られるかもだぞ?」
「それはないだろ、流石に……」
壱は席を立って、女子のいるドアのところへいった。
女子は髪を触ってちらちらと視線をやってくる。
緊張しているのだろうか。
壱相手に緊張するなんて、珍しい人もいるものだ。
「あの、団子山くん……。折り入って、お話が」
「わかった。場所を変えようか」
壱たちは校庭に向かった。
予鈴が鳴るまでの間という話だ。
朝練をしている運動部の連中が見える。
野球部とソフトボール部だ。
他の運動部は体育館。
フェンスを掴んで、女子は話し出した。
「依頼主は……私なんです」
「……守秘義務があるけど……言っていいのか?」
「いいんです。あんなへたくそな依頼書でごめんなさい。どうしても許せなくて……」
「えーっと、名前は……」
「春日井あやのって言います。春日井はこう」
振り返ったあやのは、指で空中に漢字を書き出した。
「春日井さんは何年生なんだ? 俺は二年だけど」
「一年生です」
「あ、そうなの……」
『くん』づけをされていたのが、壱はショックだった。
先輩と呼んで欲しかった。
「団子山くんは、好きなものを汚いやり口で奪い取られるのを、どう思いますか?」
「嫌だな」
「ですよね。私、許せないんです。あの人から絶対に刀を取り返したいです。あんな人の手に渡るなんて、刀が可哀想です!」
あやのは憤りを感じている。
目がメラメラと燃え盛る炎のように見えた。
「その人の名前、わからないのか?」
「わかりません……。面識はあるんですけど、あの人……警戒心だけは強いのか、名前を教えてくれませんでした。凄くいやな人でした。思い出すだけでもムカつきます」
「具体的に、どんな性格だとか、説明できる?」




