壱を訪ねてきた女子
壱は昨日テルと話したときのことを思い出す。
テルはたまらずに噴き出した。
『オレがあの依頼内容を書いたんじゃないかと思ってたって? ははっ、んなわけないだろ! オレが壱に金払わなきゃいけなくなるしさー。オレは金欲しいんだけどなー。ま、壱が疑うのも無理ないっていうか。今日のオレはおかしかったみたいだし、さ』
『ごめん。お前を疑いたくはなかったんだけど……。詳細がわからない依頼って、今まできたことなかったから。それに……俺宛っぽいのが気にかかる。団子パーティなんて、ふつうしないだろ? これ、明らかに俺目当てなんじゃないか?』
気にしすぎだと言われてしまえばそれまでだが、何故八丁念仏団子刺しが好きな人が団子パーティを開くのかという疑問が残る。
それなら、刀好きの刀好きによるパーティを開くのが道理だ。
テルに説明すると、テルはかなり感心していた。
『なるほど……。流石名探偵』
テルに率直に褒められ、壱は後ずさった。
『うぇ』
『褒められると、マジで壱さんは照れるよなー。謙遜もするし。謙遜のしすぎは嫌われるぞお』
『でも俺は……自分のこと名探偵とか思ったこと一度もないし。そう言われると、どう反応すればいいか、わかんないんだよな。テルなら、どうする?』
『そりゃもち、もっと褒めろーって言うかな』
『訊かなくてもわかってたわ』
壱は苦笑いする。
というやり取りがあったのだが、テルは助手として手伝ってくれるだろうか。
一人で調べるのは大変だ。
何から調べるかは、決まっている。
インターネットからだ。
悪い噂はインターネットに広まる可能性が高い。
特に、有名人の黒い話はヒットしやすい。
検索してみれば、そのオーナーの知名度もわかる。
それでもわからなければ、訊き込みをするほかない。
ルーティーン化した朝の出来事を終え、壱は学校へ何事もなく登校した。
早めに学校にきていたテルが壱の机までやってきて、ドアの方を指差す。
女子が立っていた。
「壱、おまえに客だって」
「こんな朝早くから?」




