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団子食べたい  作者: 社容尊悟
1本目

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19/65

いずれママ党に入る二子

「にーにのだいすきな、だんご、あるよー」

「あああああああ!!」

 壱は感極まって叫ぶ。

 スライディングするように廊下を走り、戸を勢いよく開ける。

 母親がテーブルに今日の晩飯を用意していた。

 たっぷり野菜スープとパンと、そして団子だ。

 いつもより量は少ないが、これでも壱は嬉しくて顔がほころぶ。


 母親は勝ち誇ったような笑みを、斜めの角度から見せてくる。

 相変わらずの傍若無人。

「お母さんがそんな意地の悪いこと、するわけないでしょー?」

「ありがとうございます、母上様ー!!」

 壱はリビングで土下座すると、母親はうんうんと満足げに首肯した。

「これに懲りたら、母上様に二度と嘘はつかないこと。隠し事もしないこと。いい?」

 それは難しい約束事だ。


「……うぇ……」

 つかなくちゃいけない嘘だってあるのに。

 壱は確と頷くことができなかった。

 母親は堪忍袋の緒が切れたように、テーブルを叩く。

「い~ち~?」

「あ、うん。まあ、はい」

「何よその曖昧な返事は。しっかり返事しなさい。団子食べちゃうわよ」

 母親の魔の手が団子に忍び寄る。

 壱は手を伸ばして慌てた。

「まっ、それだけはやめろください!」


 いつの間にかテーブルについていた二子が、パンを野菜スープにつけながら話した。

「にーに、じゃぱにーずどげざ?」

「どこでそんな言葉覚えたんだ……」

「私よ」

「そんなもん教えるなよ……」

「いずれ、二子もママ党に入るからね。ママ党はジャパニーズ土下座必修科目なのよ。但し、やらせるほう。私たちは絶対にしないの」

 プライドにかけて、か。

「パパ党もあるのか……」

「壱はパパ党ね。ママ党は女性しか入れません」

「恐ろしい女尊男卑の世界だな……。社会もそうなりつつあるというか……」

 壱は探偵業をやっているので、ニュースもテレビで観ている。

 新聞も読む。

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