本物のテルはどれだ?
「何でそんなに性格いいかなー。これでモテないんだもんなー。おまえは」
テルは頭を押さえて、ぶんぶんと首を振った。
「何でかはともかく……。俺は性格よくないからな? お前がよくわかってんだろ」
「いやいや。オレと比べてみろよ。おまえのが断然性格いいからな?」
「お前のほうが親しみやすいよな。お前の言うように、みんなの照三くんって感じだしさ」
「オレは演技に近いんじゃねーかなって思ってる、今のオレのこと」
「演技か……。本当のお前って、どのテル?」
テルはけろっとした顔で、すっぱりと言い切った。
「わからん」
「うーん……。それが口田照三の性格なんじゃないか?」
「そうかな?」
「そうしとけばいいんじゃないか。たまーに暗くなったり、思い悩んだりするのはご愛嬌ってことで。ずっとポジティブなやついたら紹介してくれ。怖いわ」
「はは! マジだな!」
テルは腹を抱えて笑った。
声が裏返っている。
いつものお調子者のテルに戻って、壱は安心した。
きっと、彼が本物のテルだろう。
「……一件落着、だな」
「ありがとな壱」
「おう。それで……そのー、あのだな」
「ん?」
「団子パーティのこと。お前……」
「ただいまー」
壱が玄関で言うと、母親が手をタオルで拭きながら出迎えた。
「おかえり、壱。って、どうしたの、その格好!」
年若い母親の美しい顔が笑顔から、怒り顔へと変わっていく。
壱はへらへらと笑って、咄嗟に思いついた嘘をつく。




