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団子食べたい  作者: 社容尊悟
1本目

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16/65

法律がなければ、何に従って生きればいいのか、わからなくなる

「テルこそ」

 二人は大声で笑い合った。

 一頻(ひとしき)り笑うと、壱はテルに問いかける。

「決闘罪っていうの、あるの知ってるか?」

「聞いたことはあるなー」

「これは、単なる喧嘩でいいよな」

「決闘じゃあ、ないな。オレたちは決闘なんて、しないもんな」

「そうだな……。でも喧嘩もな、犯罪になるからな……。できれば口だけで、穏便にすませたいもんだよ。その口だけでも、度が過ぎれば犯罪になるんだけどな」


 手を出しても、口を出しても、負けるときは負ける。

 言論の自由はあっても、限度に自由はない。

 言論が今日日自由かどうかは首を傾げるが。

 テルは引いたような顔をする。

「法律ってめんどくせー」

「でもその法律がなきゃ、俺たちは何に従って生きてけばいいのかわからなくなるんだよ」

「オレたち自身の理性に従えば、いいんじゃねー?」

「理性がいつまでも持ち続けられるなら、犯罪なんて起きないんだよ。人間は誘惑に負ける生き物なんだって。だから、誘惑に負けてもいいような何かがあれば……犯罪は減るはずなんだ」

「流石成績優秀の壱さんの言うことは違うわー。大人って感じー」

 テルが冗談みたいな変な声で壱を持ち上げると、壱は豪快に笑った。


「俺が大人だったら、世の中どうなるかね? 俺はまだまだこどもだ。知らないことはいっぱいあるしなぁ。俺よりも、もっと立派な志持ってる人はいっぱいいるだろ。なあ、テル」

「……何でオレに振る?」

「何となくー」

 と言って、壱は身体を起こす。

 テルも上体を起こして、ゆっくりと立ち上がった。

「身体中いてー」

「俺だって、痛いよ」


 壱も立ち上がって、制服や髪についた埃を手で払う。

 色々なところがずきずきと痛む。

 テルは気分が優れない様子だった。

「これが、オレのやりたかったことなんだな……。我ながら恐ろしいことしたわ。ごめん」

「ストレスたまってんなら、いつでも相手してやるよ」

 壱が白い歯をこぼすと、テルは敵わないなあと一言漏らして、笑った。

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