真面目堅物なくせに、団子が好きすぎるマジキチ壱さん
だが、女子の大半は遠目から彼を見ると『うわっ』という、不快そうな顔をする。
大量の団子の山と、団子グッズが女子にウケが悪いのだ。
団子マニアでさえなければ、受け入れられるという女子も少なからずいるみたいだが、好きでもない人の、そういう恋愛の類の話はどうでもよかった。
寧ろ、何故お前が決めるのかと口を出したくなるくらい、鬱陶しい話題だった。
決めるのは彼女らではなく、自分だ。
誰と付き合いたいかは、自分が考えることであって、恋愛対象がどうとかそういう話を誰彼構わず話して、平然としている女子は好きになれない。
陰口を言う女子も、だ。
悪口は、場合によっては言ってもいいと思っている。
今は、当分一人でいいやと壱は考えた。
他人の目を気にしていたら、食事がまずくなる。
「いただきまーす」
「よく食うなあ」
男二人で虚しく昼食だ。
壱は団子を大量に、テルは持ってきた弁当を食べている。
やけ食いっぽく、がつがつと意地汚く食べる。
「俺は……人は好きだけど、ああいう人は好きじゃない」
「オレも」
うんうんとテルが頷く。
タコさんウインナーを箸で掴んで食べている。
壱は両手に食べ終わった団子の串を数本ずつ持ちつつ、ぼそっと呟く。
「でも俺も、これを本人に向かって言ってるわけじゃないから、いいと思わない」
テルが頬杖をついて言った。
「……壱さん、めんどくせー」
「テルも相当めんどくさいと思うけどな」
「いーや。みんなの照三くんは、めんどくささを弁えてる照三くんだからな。真面目堅物キチ壱さんと一緒にしてもらっちゃあ、困る」
「めんどくささを弁えるって、どういう意味だよ? ってか、俺堅物じゃないし。妹にも友達にも甘い壱さんなんだけど」
壱が冗談めかして言い返すと、耳をほじってテルが即座に否定した。
「いやいや。みんなの考える壱さんはなー、真面目堅物なくせに団子が好きすぎるマジキチだってよー」
壱は嫌な予感がした。




