テルは金の亡者?
それを取ってきたテルも怪しいが、大親友を疑うのはまずい。
テルはそんな回りくどい悪さはしない。
いつもストレートに悪さをする。
壱はこの依頼が、善良な人からなのかどうかを疑った。
(俺を嵌めようとしてる誰かの悪戯……が、一番しっくりくる)
壱は悩ましげな表情をして、黙り込む。
テルはにこにこと無邪気に笑っていて、弾んだ声で確認した。
「そ。団子好きなおまえなら、当然いくよな?」
「……何か、俺を釣る気満々なパーティだな」
壱は正直に答えた。返答はノーに近い。
壱はやらないつもりなのに、テルは食い下がる。
「報酬は結構もらえるらしい。やれよーやれよー。そんでもって、オレにもくれ」
結構とは言うが、額は教えてもらえなかったようだ。
依頼者の名前も、明かしてはならない決まりになっている。
それは暗黙の了解だ。
「うるせー。どうせ金目当てなんだろが!」
「当たり前だろ! 何でおまえの助手なんかせにゃならんのよ。仕事取ってきても、一銭にもならん。タダ働きはごめんだねー」
どうあっても、この依頼を引き下げることはできないらしい。
壱は覚悟を決めた。
「金の亡者め……。ちょっとくらいならわけてやるから」
「半々な」
「ちょっとって言ってるだろ?」
テルはぶすっと無愛想な顔つきになった。
「どっちが金の亡者だよ」
「俺がやるんだから、俺の取り分は多め。それくらいふつうじゃないか」
テルは呆れて、肩を竦めた。
「はいはい……」
「俺が駄々っ子みたいな雰囲気作るな」
団子好きの壱の昼食は、またも団子の山だった。
これだけわかりやすい趣味嗜好なので、壱の名前を知らない生徒はいないとまでいわれている。
ある種の人気者状態。




