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「30過ぎるとホント碌なの残ってない、男なんて」
ぶーたれても可愛い花陽が愚痴る。
「良い出会い無かったか」
「無い無い!合コンなんてハズレくじの集まりだからさぁ、ただその知り合いに賭けてるんだけどお」
医者、弁護士、商社。
彼女の合コン歴は中々凄まじい。
それでも納得行く出会いが無いと言うのだから、世の中世知辛い。
違うか、彼女のハードルが高過ぎるのか。
「あっでもね、1人だけマシな人いた」
「マシかい」
「なんかね、年収とか肩書きも他の人とトントンなんだけど、雰囲気が明らかに違うの。こう……包み込むってゆうか」
「包容力?」
「そうそう、滲み出てた!」
素直じゃ無い彼女が、時々恋する顔になる。
その顔は可愛いなあって。
ていうか私が男なら一目惚れしてるだろうなって思う。
可愛いと振り回されるのすら楽しくなるから、恋って面白くて全く理不尽だ。
私みたいな女子に振り回されても迷惑千万に尽きるだろうけれど。
「柚はパパと子供大丈夫なの?」
「大丈夫大丈夫、いっつも私が子供見てんだから、たまには1日見てろっつの」
一度結婚してしまえば、恋心なんてあっという間に過ぎ去る。
仕事、家事、育児。家のローンに教育費。
数え切れない試練をタッグを組んで乗り切る共闘者だ。そこに甘さは要らない。
頼りにはしてる。ありがたいとも思う。
でも恋とは違うんだよなぁ。
花陽が少し、いや大分羨ましいと思うようになったのは、内緒だ。




