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「柚木ちゃーん、これお願い」
へらへらと笑う課長に頼まれたのは、なんて事ない、郵便だ。
「課長、ちゃん付け止めてください」
「おお怖っ、今何でもセクハラパワハラって言われちゃうからなぁ」
軽く笑って流す課長の生え際を見る。
明らかに去年より後退してるよな。
うちのパパもあーなるのかな。
アラサーで旦那も子供も居て、『ちゃん付け』なんて却って嫌味だわ。
花陽ならさて置き。
花陽は同い年と思えないくらい若い。
私の1番の親友で、会社以外の付き合いの続く友人の中で唯一の独身だ。
名前も可愛いし。『はなび』なんて読めないわ。
キラキラネームって奴ぁ今も昔も変わらず存在している。
「柚木ぃ、課長に気に入られてんじゃん」
「マジ止めてよ野々村。バカにしてんだよ」
「柚木見た目大人しいからなー」
「見た目、余計じゃ」
野々村は小柄な見た目と裏腹に、逞しい奴だ。
課長もそれを知ってるからか、野々村には『さん』付けだ。
子供も3人も居て、同じワーママとして尊敬する。
あたしは何のビジョンも目標もなく、ただ周りに流されて、結婚して母親になっただけ。
正反対の花陽も野々村も、同じ女として格好いいと思うのだ。




