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「あたし東京が1番好き」
花陽がグラス片手に言った。
「何だかんだ1番居心地いいよ、東京は」
「奇遇だな、あたしも」
「なんか地方出身のコって、コンプが酷いっていうか、東京を小馬鹿にしながらそれにしがみついてるんだよねえ」
花陽の親も転勤族で、花陽は各地を転々としてきた。
そのせいか、意識して友達を作らずに生きてきたと言う。
その花陽に『浮いている』と言われるんだから、私はやっぱり少数派なんだろな。
「地方、私には合わなかった。なんか村社会ってのかな、皆輪を大事にするのはいいんだけど、うっかり悪口とか言えなくて。どこで繋がってるか分かんないし」
「柚でもそんなこと思うんだー」
「思う思う、学生ん頃は我慢してたけど、嫌なものは嫌。東京はいいよ、何言ってもおかしなことしても、基本放置してくれるし」
「そうだね、薄情とか言われるけど、助ける時は助けるしね」
「そうそう」
ほっといてくれる優しさ、というのがあると知った。
向こうにいた頃は、やれ『誰が彼氏出来た』『結婚した』『柚ちゃんのこと気にしてた』の噂ばかりで。
私は当人を知りもしない、連絡も取らないのに、どんどん情報が入ってくるのが嫌だった。
遠回しに『心配してるよ』『助けてあげるよ』『仲良くした方がいいよ』と言われているようで。
プレッシャーだった。
私はその土地を、皆を好きになろうと必死で、自分を殺してきて。
上京するといってその地から逃げたんだ。




