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流れ星  作者: 葉月はるか
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「柚木さんはどこまで上を目指したいと考えておりますか、正直にお答え下さい」


にこにこと、笑いながら尋ねられる。

人事部の面談だ。


いかにも人の良さそうなオーラに、つい本音で話してしまいそうになるけれど。

まるで踏み絵をされている気分だ。


「正直、昇進のチャンスが与えられるなんて思ってもみなかったので、まだ悩んでいます。ただ今の仕事にはやり甲斐を感じているので、この道のプロフェッショナルは目指したいと思っています」


口から出る適当な言葉なんて、見透かされてしまうだろうか。

私はただ、何の問題もなく働けて、家庭が回っていればそれでいい。

野々村みたいなガッツも、塩崎みたいな野望もない。


「なるほど。では、仮に貴女が昇進して、主任になったとします。その時お子さんが急病になられたらどのように対処しますか」


ーーこれは、直球過ぎじゃないか。

どう答えたらいい。

どう答えたら正解なの。


「……主人と相談して、交代でお休みを頂きます。可能であれば自宅で少しでも穴埋めをしたいです」

「それは残業ということですね?」


結局手応えを得られないまま、面談を終えた。


どうしたいのか、分からないのに。

答えなんか出ない。

いいや、答えは出ている。

私は昇進なんてしたくない。

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