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■3日目-2■

■現在のメモの内容■

・私は時間を遡った。つまりタイムリープした。しかし辿った未来の記憶はない。

・私は夢で【このままいけば辿り着く未来】を見ることができる。

 =何もしなければ多分、【元々の私が辿った未来】の夢を見るということ?

・私が夢を見始めたのは一昨日の夜から。

 =おとといのどこか(朝〜寝る前)の時点に私はタイムリープした?


・1日目の夢は、赤い目をしたシエロ、呪文を詠唱するカルマ、右腕のないユオ

・2日目の夢は、赤い目をしたシエロからの攻撃、タルデの声、ユオの防御魔法、呪文を詠唱するカルマ(シエロを操る術式を封印?)


・シエロが操られる未来を変える。

・ユオが右腕を失う未来を変える。

暁音には2つの選択肢があった。


1.適当に誤魔化す。

夢の中の話だ、妄想だ、悪夢を見ただけだ、と言う。

しかしそれで誤魔化せるか微妙だった。

悪夢をわざわざメモに書いてまでまとめる、その理由まで考えなくてはならない。


例えば、この悪夢は呪いだからまとめている。と嘘をつく。

何の呪いか、どこで呪われたか嘘をつく。

嘘に嘘を重ねる羽目になる。面倒臭かった。


2.もう正直に話し、協力を要請する。

本人も右腕を失うのは大問題だろう。信じれば協力するだろう。


信じなければ、放置しておけば良いだけだ。


ユオの中で「いきなり好きと言ってくる異世界人」が「いきなり好きと言ってくる上に妙な妄想に取り憑かれた異世界人」へと認識が変わり、やばい奴が更にやばい奴になるだけだ。


暁音は2番を選択した。


「そう。私は、未来のスタラの魔法で時間を遡ったんだ。」


ユオの目が開いた。


ユオはもう一度メモを読み直した。

「辿った未来の記憶はない、ね」

小さく呟いた。そして考え込んだ。疑いもしなかった。


「時間逆行魔法、あぁ、あんたの言うタイムリープでも良いけどさ。

その魔法って、禁術だったと思うんだけどな。」

そう言ってから、付け足した。


「まぁそもそも、俺レベルじゃ使えねぇから。詳しくはねぇけどさ」

そして軽く首を振った。


「禁術でも、もう時間逆行魔法を使った後だもんな。

それはもういい。一旦置いとく。」


「で、あんたは今からどうするつもりなんだ?

・・・カルマか?」

ユオも暁音と同じ結論に辿り着いているようだった。


「うん。カルマは夢の中でシエロを操る術式を封印しようとしている。

今分かるシエロの特徴だけで、何の術か特定するのは難しいかもしれないけど・・・」

暁音はメモを読み直した。


目が赤くなる。黒い炎の魔法を使う。

これだけだと情報が少なすぎると思った。


ユオが小さくため息をついた。

「だろうな。・・・ていうか、カルマって今日任務じゃねぇか。

あれは明日までは帰って来ねぇぞ。」


ーーーーーーーーーーーーーーー


二人とも長く考え込んでいた。

現時点でできることは何があるか。


ユオが口を開いた。

「シエロには。」


シエロには伝えているのか、と言う意味だった。


「まだ。」

暁音が答えると、ユオはまた考え込んだ。


「まだ、言わなくて良いかもしれねぇな。

・・・少なくとも、カルマに相談してからで良いだろ。」


シエロはこの宿舎で2番目に強い魔法使いだった。

あの若さで2番と言うのは天才的な才能だった。


しかしスタラには全く敵わない。と言うより、他の魔法使い7人とスタラで戦った場合でも、スタラが勝つ可能性が強かった。


「シエロって、魔力が強すぎるのにまだ若いからな。」

ユオはそこで口を噤んだ。


そういう奴は精神が安定しにくい。

と言う言葉は飲み込んだ。

そもそも、シエロがそうだとは限らなかった。


まぁいい、と小さく呟いた。

「とにかくあんたは、今後も夢を共有しろよ。

俺の右腕がかかってるからな。」

トン、と自分の右腕を軽く指で指した。


ーーーーーーーーーーーーーーー


流れで昼食も二人で摂ることになった。


暁音が朝と同じパンを食べようとしていたら、ユオから「少なすぎる」と文句を言われた。

栄養が偏るとか人間は弱いとかブツブツ言われた。


街で適当な店に入り、適当な定食のようなものを食べた。

肉を食え野菜を食えとユオからブツブツ文句を言われた。


(こいつ、こんなに世話焼きだったか・・・?)


暁音は少し疑問に思いながらも、言われた通りに食べた。

逆らう方が面倒だと判断した結果だった。

合理的判断だった。


ーーーーーーーーーーーーーーー


昼食後は別れ、ユオは「軽い任務」に向かい、暁音は書庫へと向かった。


人を操る魔術と、その特徴が載っている本などはないか、調べたかった。

人を操る魔術についての本はあったが、これだけの情報で特定するのは難しかった。

やはり情報が少なすぎた。


禁術の棚を見ていると、「時間逆行魔法」の本を見つけた。

かなり古い本のようだった。思わず手に取った。


パラパラとページを捲った。


━…━…━…━…━…━…━…━…━…━

■時間逆行魔法の代償1について。

以下の条件を満たしすぎると代償が発生しやすい。


1.時間逆行魔法を使用した術者と実際に時間逆行した者が同一の場合。

直ちに未来を改変すること。できなければ代償1が発生しやすいとされる。


2.時間逆行魔法を使用した術者と、実際に時間逆行した者が別の場合。

1より長く猶予があるとされている。

ただし、時間逆行魔法を使用した術者と、関わりすぎると代償1が発生しやすいとされる。


3.変えたい未来を変えるまでに要する時間について。

変えたい未来を変えるのに時間をかけ過ぎた場合、元の時間軸と同じ未来を辿りやすいとされる。

その場合、同じ未来に辿り着き、時間逆行魔法を重ねることになる。

しかしこれに反発する力が働き、代償1が発生しやすいとされる。

━…━…━…━…━…━…━…━…━…━


そこまで読んで、代償1が何か読んでないことに気付いた。

ページを前に戻した。


━…━…━…━…━…━…━…━…━…━

■時間逆行魔法の代償について。

代償は二つある。


まず代償1について。

代償1とは。

新たな時間軸と元の時間軸のズレにより、時間逆行した者が世界の自己修正により、徐々に薄くなるとされている。

まず、周囲の者から認知されにくくなる現象が起きる。

最初の段階で、周りから名前を忘れられる。

その後容姿の印象が消える。

最終的に存在そのものが消滅する可能性があるとされる。

対処法については次章の

━…━…━…━…━…━…━…━…━…━


・・・消滅。

暁音はそこまで読んで深呼吸した。

対処法がある。落ち着け。

自分に言い聞かせた。それに代償2の方も気になる。


━…━…━…━…━…━…━…━…━…━

■そして代償2について。

代償2とは。

元々辿った未来の夢を頻繁に見るようになり・・・

━…━…━…━…━…━…━…━…━…━


そこまで読んで一旦代償2については置いておくことにした。

暁音が夢で見ているのは【元々辿った未来】ではなく、【このままいけば今の自分が辿り着く未来】だからだ。

代償1の対処法を確認することにした。


ーーーーーーーーーーーーーーー

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