■8日目-8■
「・・・・っ・・・あ、暁音さん!お疲れ様!」
パラムが一泊遅れつつも暁音に挨拶を返した。暁音の名前を呼んでいる時のパラムの顔は、どこかほっとしているように見えた。
ルクスはパラムの声を聞き、ハッとしたようにパラムの顔を見て、そしてまた暁音の顔を確認した。
「あ・・・暁音さん。お疲れ様です。」
ルクスは暁音に挨拶を返し、「・・・暁音さん」と小さく呟いた。まるでその名前の輪郭をもう一度確かめるように。
暁音はそんな二人の様子を見て、嫌な予感がした。
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■時間逆行魔法の代償について。
代償は二つある。
まず代償1について。
代償1とは。
新たな時間軸と元の時間軸のズレにより、
時間逆行した者が世界の自己修正により、徐々に薄くなるとされている。
まず、周囲の者から認知されにくくなる現象が起きる。
最初の段階で、周りから名前を忘れられる。
その後容姿の印象が消える。
最終的に存在そのものが消滅する可能性があるとされる。
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5日前に書庫で読んだ本の内容を思い出していた。あの後、ユオやカルマに【対処法】を試してもらっている。
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■時間逆行魔法の代償1について。
その対処法について。
この世界にいる魔法使いの誰かと、誓いを立てること。
魔法使いは現存で1000人弱存在する。
魔法使いとの誓いはどのようなものでも良い。
重ければ一つ、軽ければ沢山必要とされる。
魔法使いとの誓いはこの世界に作用しており、
時間逆行した者の存在を世界に繋ぎ止めるとされている。
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「あんたの時間逆行魔法関連の問題が片付くまでは、俺があんたを守る。そう誓う。」
「シエロが術者に取り込まれないよう、私に出来る限りのことをする。そう誓おう。」
二人の誓いの内容はこうだった。重ければ一つ、軽ければ沢山必要。二人の誓いは、期限付きの誓いと、条件を絞った誓い。きっと【重い誓い】には分類されないのだろう。
しかし、だからと言って【重い誓い】をして欲しいとは思えなかった。
魔法使いの誓いというのは、その誓いが重ければ重いほど魔力が増えるとされている。しかし同時に、誓いを破ると【何か】を失うという代償を背負うことになる。
失うものは誓いの重さによって違い、命、魔力、信念、記憶、大切な思い出、身体的機能など、様々なものがその対象になり得た。そして何が失われるかは誰にも分からないのだ。
それが、魔法使いたちが簡単に誓いを立てない理由だった。
書庫の入り口に立ったまま動かない暁音を見て、タルデは「おい。・・・何してるんだ?」と言い、怪訝そうな顔をして暁音の顔を覗き込んだ。
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