■8日目-9■
「・・・あ、いや、何でも・・・」
「何でも、って顔かよ。」
暁音はタルデの顔を見た。タルデは一応、心配してくれている顔をしていた。タルデには【このままいけば辿り着く未来】の夢のことも、暁音が【未来のスタラの魔法で時間を遡った】ということも話してある。
タルデにも時間逆行魔法の代償について話をするべきだろうか、と暁音は考えた。・・・ユオやカルマみたいに【期限付きの誓い】や【条件を絞った誓い】をして貰うのが良いのかもしれない。
(・・・あれ?)
そこまで考えて、暁音は一つ疑問に思った。確か本にはこう書いてあったはずだ。
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変えたい未来を変えるまでに要する時間について。
変えたい未来を変えるのに時間をかけ過ぎた場合、
元の時間軸と同じ未来を辿りやすいとされる。
その場合、同じ未来に辿り着き、時間逆行魔法を重ねることになる。
しかしこれに反発する力が働き、代償1が発生しやすいとされる。
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夢の内容が変わったのだから、未来は変わっているはずだ。それでは、なぜ代償が起きているのだろう。暁音が黙り込んでいるのを見て、タルデは若干イラつき始めていた。
「俺を無視して考え込むな。」
タルデは明らかに不満そうな顔をしている。
「え、あぁ、いや・・・その・・・。」
書庫にはパラムやルクスもいる。暁音は一旦、引き返すことにした。タルデの袖を引っ張り、歩き出した。
「あ、おい。引っ張るな。服が伸びる。」
タルデはぶつぶつと抗議しながらも、仕方なく暁音について行った。
「・・・やめろ、本当に伸びる。いや、もう既に伸びた。どうすんだよこれ。」
しばらく歩いたところで、タルデはようやく暁音の手を振り払い、少し伸びた袖を見ながら文句を言った。
暁音はタルデを振り返り、少し困ったように言った。
「えっと。実は時間逆行魔法には代償があるらしくて。なんだっけ。【時間逆行した者が世界の自己修正により、徐々に存在が薄くなる】?みたいな内容だったかな。それで、第一段階として、【周りから名前を忘れられる】って書いてあったから。さっき、パラムたち、私の名前が一瞬出てこなかったように見えた・・・から。」
暁音は今更ながら少し恐怖を感じていた。なぜ代償が起きているのか。【変えたい未来を変えるのに時間をかけ過ぎている】のだろうか。
つまり、未来は変わったように見えて、最終的な【変えたい未来】である、【シエロが操られる未来】と【ユオが死ぬ未来】の両方、もしくはどちらか片方がまだ変えられていないのだろうか。
「はぁ・・・?存在が、薄くなる・・・?」
タルデは驚愕して、暁音の言葉を繰り返した。
「おい、初耳なんだけど。なんでそれ、俺には共有されてねぇの。・・・で、対処法とかないのかよ。」
タルデは落ち着いていたが、先程までとはまた違うイラつきを表情に滲ませていた。
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