■8日目-3■
「そういえば、夢はどうなったんだ。もうシエロが術に操られていたりはしてないんだよな?・・・じゃ、夢はいつまで見るんだ。」
どうでも良い会話をしながら帰っていたが、ふと思い出したようにユオが言った。
「まだ見てる。いつまで見るんだろう・・・」
もう脅威が消えたなら【このままいけば辿り着く未来】を見る必要はないはずだ。それとも、タイムリープした時期に追いつくまでは夢を見続けるのだろうか?
(その辺り、スタラに聞いておくべきだったな。いや、代償1のことを考えると・・・確か、時間逆行魔法を使用した術者と、実際に時間逆行した者が別の場合、時間逆行魔法を使用した術者と関わりすぎると代償1が発生しやすいとされる・・・みたいに書いてあったしなぁ。)
暁音は代償1について思い出していた。
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■時間逆行魔法の代償について。
代償は二つある。
まず代償1について。
代償1とは。
新たな時間軸と元の時間軸のズレにより、
時間逆行した者が世界の自己修正により、徐々に薄くなるとされている。
まず、周囲の者から認知されにくくなる現象が起きる。
最初の段階で、周りから名前を忘れられる。
その後容姿の印象が消える。
最終的に存在そのものが消滅する可能性があるとされる。
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対処法は一応試している。4日目に、ユオやカルマに協力してもらって。だが確実に安全というわけではないはずだ。あえて代償1が発生し易い状況を作りたくはなかった。
(・・・そもそも消えた未来のスタラがかけた魔法について、どこまで現在のスタラが把握しているか分かんないしな・・・)
「・・・うーん。この件は保留で。」
暁音がそう答えると、ユオは明らかに不満そうな顔をした。
「せめて、昨夜も夢見たなら共有しろよ。気になるだろ。」
一度、「未来で死んだ」と通告されたユオが夢の内容を気にするのは当然と言えば当然だった。【元々辿った未来】と夢の内容がズレたとは言え、まだ安全だと確定したかは分からない。
「あー。ええっと、6日目の夢で、シエロが『1番になりたい、特別な存在になりたい。』って言ってたじゃん。あれの続きか、もしくは似たような、あれに近い分岐か・・・」
暁音は少し考えた。『1番になりたい、特別な存在になりたい。』からシエロの望みが少し変わった。実現可能かもしれないと思えるものに。もちろん、将来的にスタラより魔力が強くなる可能性は充分あるけれど。
「続き?どんな。」
「『特別な存在である異世界人の一番特別でも良いかも。』・・・みたいなことを言ってたかな?」
暁音はその意味について考えることを一旦放棄していた。しかし今、改めて口にしてからまた思考が再稼働していた。
(恋人的な意味だったらどうする。いやまさかな。そこまでの仲ではないし。いやあれは【このままいけば辿り着く未来】だから、このままシエロとの時間を増やした場合の未来ってことだから、ありえるのかな。ありえるのか?)
「・・・特別。」
暁音はぐるぐると考えながら歩いていたが、後ろから声がして隣にユオがいないことに気付いた。
振り返るとユオの足は止まっていた。複雑な表情をしていた。
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