■8日目-1■
暁音は目を覚ました。
「いやいや。・・・え?」
今までとは別の意味で心臓に悪い。
「特別な存在である異世界人の一番特別」って言ってた。何だそれ。それって私の一番ってことか。いやいや。どこでそうなった。暁音は混乱していた。
深呼吸して、一旦整理する。あれは【このままいけば辿り着く未来】だから。つまり、このままシエロとずっと仲良くし続けた場合ってことか。シエロとできるだけ一緒に行動し、一緒にお昼を食べたり、一緒に夜屋上で話をするみたいな。そういう生活を続けた場合の未来・・・ってことだろうか。
・・・まぁ、それで良いのだろうか。全部解決するなら。シエロを私の一番特別に・・・一番特別って何だろう。恋人的な?どうなんだろう。流石に違うか・・・思い上がりか。一番頼りにするとか、そういうことか。分からない。
とりあえずメモに追記した。
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・私は時間を遡った。つまりタイムリープした。しかし辿った未来の記憶はない。
・私は夢で【このままいけば辿り着く未来】を見ることができる。
=何もしなければ多分、【元々の私が辿った未来】の夢を見るということ?
・私が夢を見始めたのは5日前の夜から。
=6日前のどこか(朝〜寝る前)の時点に私はタイムリープした?
・1日目の夢は、赤い目をしたシエロ、呪文を詠唱するカルマ、右腕のないユオ
・2日目の夢は、赤い目をしたシエロからの攻撃、タルデの声、ユオの防御魔法、呪文を詠唱するカルマ(シエロを操る術式を封印?)
・3日目の夢は、カルマの呪文の詠唱は時間がかかっていた、青白く光っていた、詠唱中は無防備(詠唱と防御は同時にできない?)、シエロに暁音の声は届かない
・4日目の夢で、私は安全な場所にいた。タルデが「術の解除には成功したはず」と言う、タルデもいる、シエロは眠っている、ユオは死んだ、3日目の続きなのか未来が変わったのかは不明
・5日目の夢。私は後悔しているだけ。何もしていない。シエロは長く眠っているようだ。
・6日目の夢。談話室。シエロは「1番になりたい、特別な存在になりたい。」と言った。もしかしたら【元々辿った未来】から分岐したかもしれない。
・7日目の夢。談話室。シエロは「特別な存在である異世界人の一番特別」でも良いかもと言った。
・シエロの状態で現在分かっているのは赤い目と、黒い炎の攻撃。
・シエロが操られる未来を変える。
・ユオが右腕を失う未来を変える。
→ユオが死ぬ未来を変える。
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悩みながら廊下に出て歩いているとシエロとタルデに会った。
「あ、暁音さん。今から朝食?俺たちもなんだ。」
今日のシエロは何だか少し機嫌が良さそうに見える。気のせいかもしれない。
「俺たち今日は昼前には出るから。」
タルデが言った。タルデには暁音が【このままいけば辿り着く未来】の夢を見ていることは共有してある。暁音に目線を送っていた。表情をチェックしているようだ。暗い顔をしていないか、寝不足そうではないか。・・・特に問題なさそうだと判断したのか、しばらくして目線が逸れた。
食堂に入ってパンとスープを受け取り、3人で席についた。暁音の隣にシエロ。暁音の前にはタルデ。
「あんた今日は何するんだ?そろそろ食材買い足した方が良いと思うぞ。」
パンを齧りながら半目のタルデが言った。まだ眠いようだ。
「今日は食材の買い出し?俺も行けたら良かったけど。結構重くなるよね。」
シエロが少し申し訳なさそうな顔で笑って言った。
「重くなるって言うけど。こいつほとんど持たないだろ。」
暁音の隣にパンとスープの入ったトレーを置きながらユオが言った。
「そんなことないよ。」「そんなことはないだろ。」シエロとタルデの同時の返答に、ユオは面食らった顔をした。
「・・・まさか。俺以外と買い出しに行く時はちゃんと持ってんのか、あんた・・・」
ユオが信じられないという顔をして暁音を見た。
「え?あはは・・・そうだったかな・・・」
そういえば、そうだったかもしれない。だってユオは文句言いつつ本気では怒らないし・・・。と暁音は思った。少しだけ反省した。少なくとも見た目は反省してる感じを出すことにした。
「・・・以後気をつけます・・・。」
暁音の反応を見て、ユオは小さくため息をついた。
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