■7日目-3■
カルマとの話は終わり、暁音とユオは廊下に出た。
(私にはシエロみたいな人の気持ちは分からないな・・・むしろ自分が2番になったら、間違って1番にならないようにこっそり手を抜くかも・・・)
「今、何考えてんだ。」
そう聞かれて、暁音はユオの顔を見た。ユオは面倒くさそうな顔をしているが、何か考えていそうな目をしていた。
「いや・・・シエロの悩みって私にはよく分からないなって。1番とか特別とか。なりたいかな?」
(1番なんて面倒くさそう・・・)とまでは言わなかった。
ユオは少し考えた。世界で1番強い魔法使いになっている自分を想像してみた。
自分より上の存在がいない。自分がスタラみたいになる。怖いものがなくなるのだろうか?名前を出すだけでも周りが恐れる存在になる。
今まで想像したことがなかったので上手く想像できなかった。でも悪くない気がした。責任とかは面倒だけど。
「・・・まぁ、なれるならなっても・・・?」
ユオは暁音を見た。もし自分が世界で1番強い魔法使いなら【暁音が元々辿った未来】でも死なずにすんだのではないか?
ついでにシエロが操られていても拘束魔法とかで暴走を止められてたりしたのでは。それで全てうまくいったのでは?暁音が禁術で時間を遡ることもなかったのでは。
そこまで考えて、軽く首を振った。
「・・・まぁ。俺にはそんな夢は、手の届かない話だからな。自分にやれる範囲でやっとくわ。」
ユオは小さく肩をすくめてため息をついていた。
「ていうか俺、徹夜明けだから。・・・寝てくる。」
ユオは急に自分が徹夜明けのことを思い出したようだ。昨日の朝からずっと起きている。思い出したら急に眠くなってきた。
ユオは自室の方へと去って行った。
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「あ、暁音さん」
暁音が一人で廊下を歩いていると、ウォルクに声をかけられた。
「ね、お使い頼まれてくれない?いくつか薬品や薬草が欲しくって。」
そう言ってメモを渡してきた。
暁音は買い出しやお使いの担当でもあった。魔法使いではない暁音にできることは限られていた。
「うん、良いよ。」
暁音がメモを受け取ると、ウォルクは嬉しそうな顔をした。相変わらず、本当に嬉しいのか作った笑顔なのかは読めない顔だった。
「薬品のビンは結構重たいかも。誰かに付き添いを頼むのも良いかもね。そうそう、シエロなら中庭にいたよ。」
そう言って去って行った。
暁音は去っていくウォルクの背中を見つめていた。銀色の髪が窓から差し込む光を受けて白く光って見えた。
暁音はまだウォルクには何も共有していない。
自分が時間を遡ったことも、【このままいけば辿り着く未来】の夢を見ていることも、【元々辿った未来】ではシエロが術にかかり、ユオが死ぬことも。共有はしていないけど、ウォルクは何か知っているのだろうか。・・・あるいはただの勘だろうか。
背中を見つめたところで答えは出てこなかった。
暁音は中庭に向かうことにした。
シエロのこともシエロの気持ちも理解できない。
けれど、少しでも一緒にいれば何かが変わるかもしれない。何かきっかけができるかもしれない。
そんな気がしていた。
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