■4日目-5■
「とにかく。」
とユオが続けた。
「あんたに消えられると困るし、未来が変わらないのも困る。
俺の腕がかかってるからな。」
そして少し考えた。軽すぎると効果が薄い。
だが重い誓いをするというのも・・・
「よし。」
何かを決めたように言って、暁音の手を取った。
「・・・あんたの時間逆行魔法関連の問題が片付くまでは、俺があんたを守る。そう誓う。」
そう言って、暁音の指先に少し触れる程度の口付けをした。
【守る】と言う重い誓いに期限をつけることで軽くした。
我ながら良いバランスだ、とユオはおもっていた。
「・・・は。」
暁音は面食らっていた。
暁音の思考が停止するのはかなり珍しい現象だった。
「・・・なんだよ。」
暁音の顔を見て、ユオは怪訝そうな顔をした。
カルマは暁音の顔を見て、気づいた。
「・・・誓いというのは、さっきユオがしたようなやり方が一般的だ。」
基本的には。とまでは言わなかった。
「・・・知らなかったか。」
カルマがそう言ったのを聞いて、ユオの顔が一気に赤くなった。
暁音の手を思い切り振り払った。
「あ・・・あんた、今、なんか変な勘違いしたんだろ!!」
自分が説明もせずにした癖に逆ギレしていた。理不尽だった。
「いや、そういうわけではないです。
ていうか、説明くらいしてよ。」
勘違いというより、思考が止まっていただけだ。
暁音は【勘違い】の部分を否定しつつ、指摘もしておいた。
「知っとけよ!常識だろ!」
赤くなって怒っているユオを無視して、カルマが暁音の手を取った。
「では。シエロが術者に取り込まれないよう、
私に出来る限りのことをする。そう誓おう。」
カルマが暁音の指先に軽く当てるだけの口付けをした。
この行動の理由も分かったので、流石に暁音も動揺しなかった。
「ありがとう。」
カルマの目を見てしっかりとお礼を言った。
「・・・おい。俺には。俺には礼言ってないだろ。おい。」
ユオが二人を見ながら小声でブツブツと文句を言っていた。
「ああ、うん。ユオも。ありがとうありがとう。」
暁音はユオにもお礼を言っておいた。
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カルマの部屋から出たあと、暁音はまだ何かブツブツ小声で言っているユオと別れて自室に戻った。
そしてタルデにどこまで話すべきか考えていた。
時間を遡ったことまで話すべきか。
それとも、シエロの様子が気になるから何かあったら教えて欲しい、くらいに留めておくべきか。
段階的に話すべきか。
・・・そういえば。
午前中にタルデと買い出しに行った時、タルデは何か言いかけていた気がする。
あの時、何を言いかけて辞めたのだろう。
タルデは夕食後には任務に出るだろう。
シエロと一緒に。そして明日まで帰って来ないだろう。
どこかで話すタイミングがあるかな。
暁音はしばらく考えた後、メモ用紙にペンを走らせ、それを破った。
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夕食の時間に食堂に行くと、パラムとルクスが向かい合って食事をしていた。
暁音を見つけて、パラムが手を振った。
「暁音さん!こっちこっち。ね、今日のご飯、美味しいよ!」
パラムが【美味しいポトフ】を食べながら、嬉しそうに言った。
今日の当番はユオだった。
しかし既に彼の姿は食堂にはなかった。
「ユオ、今回も作りながら味見しすぎて、もう食べられないんだって。」
パラムはクスッと笑った。ユオのいつものパターンだった。
「味見の量が多すぎるんですよ。」
ルクスは呆れていた。
そろそろ学んでも良いのではないか、と思っていた。
暁音も【美味しいポトフ】を食べた。
確かに美味しかった。
少し離れたところでウォルクが食事をしているのが見えた。
ウォルクは「なかなか良い」という顔をしていた。
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暁音は夕食を終えて部屋に戻った。
戻る前に、タルデの部屋のドアの下の隙間から切り取ったメモを差し込んでおいた。
今日したことは、カルマに相談。
そして、ユオとカルマからの誓い。
これだけでも今日の夢は変わるのだろうか?
それともあまり変わらないだろうか。
まだ何かが動いたとは言えない。
暁音は大きく夢が変わる可能性は低いと予想した。
そしてベッドに入り、目を閉じた。
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夢を見た。
暁音は安全な場所で祈りながら待っていた。
誰かを。みんなを。
夜中だった。雪が降っていた。
カルマが眠っているシエロを抱えて帰ってきた。
「術の解除には最高したはずだ。今は眠っている。」
静かにそう言った。
カルマの後ろにはタルデがいた。
タルデは苦しそうな、辛そうな顔で俯いていた。
・・・ユオがいなかった。
「・・・ユオは。」
暁音は自分の心臓が速くなっているのを感じていた。
嫌な予感がした。
カルマが目を細めて暁音を見た。
その瞳が揺れているように見えた。
「・・・ユオは、 」
カルマの言葉を聞いた瞬間、暁音の頭の中は真っ白になった。
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