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『追放された掃除屋の俺、全自動の「洗浄結界」を張ったら聖域が爆誕した。〜ボロボロの女騎士を洗ったら神話級の英雄に覚醒したんだが、俺はただの清掃員なんだが?〜』  作者: 志喜  陽斗
第5章:世界のシミ・根源的洗浄編

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第81話:最高神の「汚部屋」に突撃。――「神様、その寝癖と加齢臭、落とせませんよ」。

運命の糸をフカフカに仕上げ、下界に平和をもたらしたリト。しかし、天界の浄化はまだ終わっていなかった。いや、むしろここからが「本丸」である。

 リトが指差した先、黄金の装飾が施された、天界で最も巨大な扉。その隙間からは、目に見えるほどの「どんよりとした灰色の霧」が噴き出していた。

「……みんな、ガスマスクを装着して。……。……この先にいるのは、数万年間一度も自分の体を洗わず、部屋の空気も入れ替えず、ただ『全能』という権力に溺れて腐りきった、この世界の最大の不潔……『最高神ゼノン』だ」

「最高神……。リト様、流石にそれは……。神々を統べる御方を掃除するなど、世界そのものが崩壊してしまうのでは……!」

 エルナが危惧するが、リトの決意は揺るがない。

「掃除に聖域はないんだよ、エルナさん。……崩壊するなら、不潔なままでいるより、綺麗になってから崩壊した方がマシだ。……いくよ。……【清掃魔導:次元・扉・瞬間除菌ドアノブ・サンニタイズ】!」

 リトが扉に手を触れた瞬間、青白い光が走り、頑固に固着していた「呪いの油分」を分解して扉が左右に開かれた。

 中に広がっていたのは、黄金と宝石に彩られた空間……ではなかった。

 そこは、山積みになった「空になった神酒の瓶」、書き殴られた「人類滅亡のラフ案」が散乱する床、そして何より、巨大な玉座に座り、脂ぎった髪を振り乱して「……眠い……管理とかマジ無理……」と呟く、巨大な老人の姿だった。

「……最高神、ゼノン……。……これが、私たちの崇めていた……神の真の姿……?」

 アルテミスが絶望に目を見開く。最高神ゼノンは、もはや自分の魔力の重みで身動きが取れなくなっていた。その魔力は、長年の不摂生と不潔な思考によって「粘着性のある黒ずみ」に変質し、玉座と一体化してしまっていたのだ。

「……何奴だ……。私の……心地よい『まどろみ(不潔)』を邪魔する者は……。消えろ……。この『神のゴッド・グライム』に触れて、永遠の怠惰に沈むがいい……」

 ゼノンが腕を振ると、玉座の周囲から、文字通り「数万年分の垢」が津波となってリトたちに襲いかかった。それは触れた者の活力を奪い、魂をドブネズミのような色に染め上げる、究極の不潔攻撃。

「……うわっ、汚いな。……これ、ただの垢じゃない。……『万物の腐敗』の概念が混ざってる。……でも、ゼノンさん。君がそんなに怠いのは、ただ『身体が重すぎる』からだよ」

 リトは、ベヒモスの全魔力を右手に集中させた。手に持ったのは、高純度のダイヤモンドでコーティングされた、世界一硬い『デッキブラシ』。

「アルテミスさん、クラちゃん、足場を固定して! ……ルクレツィアさん、魔王オーナー、最高神の『魔力の油分』を中和するアルカリ魔法を! ……これから、この神様を『一皮剥いて』あげる!」

「リト様、命令を待っていましたわ! ……【清掃連携:超・重曹・銀河旋風ハイパー・ソーダ・ストーム】!!」

「ふん……。神を洗うなど、前代未聞。……だが、この爽快感の先に、新たな世界が見えるというのなら……。いくぞ、ゼノン! その汚いオーラごと、リトに磨かれるがいい!」

 リトが飛び出す。最高神の放つ「怠惰の津波」を、リトは驚異的なステップで(一歩ごとに床を磨きながら)回避し、ゼノンの鼻先に肉薄した。

「……ゼノンさん。君の寝癖、もうクシじゃ通らないから……『高枝切りバサミ』でいくよ。……【清掃奥義:神格・剥離・スクレイピング】!!」

 リトのデッキブラシが、最高神の額に突き立てられた。

 バリバリバリッ!!

 という、氷河が砕けるような轟音が天界に響き渡る。最高神を覆っていた「不潔の鎧」が、リトの一撃によって粉砕され始めた。

「ギャァァァァァァッ!? 剥がれる! 私を……私を優しく包んでいた『闇』が! 冷たい空気が……清潔という名の恐怖が、私の肌を刺すぅぅぅっ!!」

「恐怖じゃないよ、それが『感覚』だ。……さあ、汚れの下に隠れた、本来の君を見せてよ!」

 リトの掃除は、ついにこの世界の頂点に君臨する存在をも、一塊の「汚れ」として処理し始めたのである。


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