第77話:天界の「玄関口」は物置状態。――神様、この粗大ゴミ、捨てますよ?
ベヒモスが雲の壁を突き抜け、たどり着いた場所――そこは、かつて詩人たちが「黄金の都」と称えた天界の入り口、『聖なる門』であった。
しかし、一行が目にした光景は、神話とは程遠い「生活感に溢れた不潔」であった。
「……何、これ。……玄関に、何万年分もの『とりあえず取っておいた物』が積み上がってる」
リトが絶句するのも無理はなかった。
黄金の門の周囲には、ひび割れた『運命の天秤』、弦が切れたまま放置された『天使の竪琴』、中身が腐って発酵している『神の蜜酒』の空き瓶、さらには折れた神の槍などが、まるで「ゴミ屋敷の玄関先」のように山積みになっていた。
「リト様……。これが、私たちが祈りを捧げてきた天界の姿なのですか……? 聖教会の教典には、天界は一点の曇りもないクリスタルの床でできていると記されていたのに……」
聖女エルナがショックのあまり膝をつく。彼女の足元にあるクリスタルの床は、確かにクリスタル製ではあったが、あまりの埃と皮脂汚れで「曇りガラス」どころか「ただの石」にしか見えなくなっていた。
「エルナさん、現実は厳しいんだよ。……神様たちも、最初は綺麗にしてたんだろうけど……『永遠の命』があるからこそ、『明日やればいいや』を数万年繰り返すと、こうなっちゃうんだね。……よし、まずはこの『不用品』の分別から始めよう」
「不用品だと!? それらはすべて神聖なる遺物――」
生き残った天使たちが反論しようとするが、リトは既に『断捨離の神(清掃員)』と化していた。
「壊れて使えないのはゴミだよ。……ルクレツィアさん、影の力で、この『執着の塊』を一箇所にまとめて! アルテミスさん、その剣で細かく裁断して、ベヒモスのリサイクル炉へ放り込んで!」
「「はいっ!!」」
リトの指揮下、天界の玄関先で猛烈な「断捨離」が始まった。
アルテミスの聖剣が、数万年の怨念がこもった神具を、容赦なく「不燃ゴミ」のサイズに解体していく。ネフィリムが影の掃除機で、細かな埃と「神々の怠慢」を吸い取っていく。
「……あ。……門の下に、いつからあるのか分からない『干からびたトカゲの燻製』が……。これ、絶対に誰かが隠れて食べたやつだよね」
リトが隅々まで徹底的に磨き上げると、曇りきっていたクリスタルの床が、ついに本来の輝きを取り戻した。
ピカーーーッ!!
反射した光が天界の奥まで突き抜け、これまで汚れで隠れていた「さらなる汚部屋」の存在を照らし出す。
「……。……奥に行けば行くほど、状況は深刻そうだね。……次は、神様たちが一番サボってるであろう『会議室』かな」
リトの「掃除無双」は、ついに神々のプライベートゾーンへと踏み込んでいく。
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