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『追放された掃除屋の俺、全自動の「洗浄結界」を張ったら聖域が爆誕した。〜ボロボロの女騎士を洗ったら神話級の英雄に覚醒したんだが、俺はただの清掃員なんだが?〜』  作者: 志喜  陽斗
第4章:魔王城・大掃除遠征編

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第63話:魔王城の「換気扇(ベンチレーション)」修理。世界に秋の風が吹く。

四天王ダストを「集塵」してしまったリト一行。魔王領の空気が、入り口付近だけ驚くほど澄み渡っている。しかし、リトの表情はまだ晴れない。

「……おかしい。入り口を綺麗にしても、奥の方から絶えず『どんよりした空気』が流れてくる。……これ、大元の空調が死んでる証拠だよ」

 リトが指差したのは、遠くにそびえ立つ魔王城の最上階。そこには、魔王領全体の魔力を循環させるための巨大な「魔導換気扇ベンチレーション・ギア」が備え付けられているはずだった。

 しかし、望遠鏡で確認すると、その巨大な羽根は数千年のサビと、鳥の魔物の巣、さらには「執着」という名の概念的な汚れで、ガチガチに固着して動かなくなっていた。

「リト様、あれを直すのですか? ……あそこは地上数千メートル、魔王城の最頂部。魔王軍の結界が最も厚い場所ですわ」

「結界よりも、あの羽根の『固着』の方が深刻だよ。……あれが回らないから、魔王領にはずっと悪い気が溜まったままなんだ。……よし、みんな。魔王城に乗り込む前に、まずは屋上に直行だ!」

 リトはベヒモスを空へと急上昇させた。迎撃に来るガーゴイルたちを、アルテミスが「掃除の邪魔ですわ!」と聖剣の一振りで(ついでに表面の汚れも削りながら)叩き落としていく。

 屋上に到着したリトを待っていたのは、想像を絶する「汚れの地層」だった。

「……うわぁ。……ベアリングのグリスが完全に炭化してる。……これじゃあ、どんなに魔力を注いでも回るわけがないよ」

 リトは、腰のポーチから一瓶の液体を取り出した。

 それは、魔導窯で精製された超浸透性潤滑剤、――名付けて『5-5-6の神話級ゼウス・スプレー』。

「クラちゃん、羽根の隙間にこれを流し込んで。……アルテミスさんは、固まった鳥の巣の撤去。……僕は、心臓部のサビを落とす!」

 リトの指揮の下、屋上での「大規模修繕」が始まった。

 リトがサビ取り剤を塗り込み、超音波で振動を与えると、数千年間沈黙していた巨大な歯車が「ギギ……」と声を上げた。

「……よし、今だ! 潤滑剤、注入!」

 シュッ、と一吹き。

 その瞬間、潤滑剤が金属の隙間へと魔法のように浸透し、炭化した汚れを分解していく。

 ゴォォォォォォォン……!!

 巨大な換気扇が、ゆっくりと、しかし力強く回り始めた。

 止まっていた世界の「呼吸」が再開された瞬間だった。

 魔王城から吹き出した強烈な「排気」が、これまで魔王領を覆っていたどんよりとした空気を一気に押し流していく。

「……あ。……涼しい。……リト様、見てください! 雲が晴れて……魔王領に、初めて『秋の澄んだ風』が吹いています!」

 セリナが涙ぐみながら空を見上げる。

 その風は、ただの空気の移動ではなかった。リトが換気扇を「清掃」したことで、魔王領の呪われた魔力そのものが浄化され、爽やかなエネルギーへと変換され始めたのだ。

 しかし、換気扇が回り、城内の空気が入れ替わったことで、中に潜んでいた「主」が激怒する。

「……誰だ。……私の、お気に入りの『カビ臭い空気』を勝手に入れ替えたのは……!」

 城の奥から、今度は「黄ばみ」を愛する四天王の影が近づいていた。

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