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『追放された掃除屋の俺、全自動の「洗浄結界」を張ったら聖域が爆誕した。〜ボロボロの女騎士を洗ったら神話級の英雄に覚醒したんだが、俺はただの清掃員なんだが?〜』  作者: 志喜  陽斗
第3章:魔海浄化と人魚の涙編

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第56話:真・聖女vs人魚姫。タオルの質感を巡る「吸水性」論争。

魔海浄化が最終局面を迎え、海水の透明度が「光を屈折させない」レベルに達した頃、魔導戦艦ベヒモスの船上では、ある意味で魔王軍との戦いよりも熾烈な「女の意地」が火花を散らしていた。

 原因は、掃除作業を終えて海から上がってきたリトを、誰が最初に出迎え、誰のタオルでその体を拭くか――という、極めて個人的かつ重大な問題であった。

「リト様、お疲れ様です! さあ、私の魔力で人肌に温めた、この『特製・聖騎士綿パラディン・コットン』のタオルをどうぞ! リト様が開発した超微細柔軟剤を十倍の濃度で染み込ませた、究極のフカフカ仕様ですわ!」

 アルテミスが、一番槍と言わんばかりに巨大なバスタオルを広げて待ち構える。その眼光は、魔物を見つめる時よりも鋭い。しかし、横から音もなく現れた聖女エルナが、銀色の盆に乗せたタオルを差し出した。

「アルテミスさん、甘いですわ。リト様のように高密度の魔力を操る方は、拭く時の『摩擦』すらも魔力抵抗になります。私のこの『神聖マイクロファイバー』は、繊維の一本一本が聖水の分子で構成されており、肌に触れるだけで水分が『蒸発』して消える、吸水率2,000%の代物です!」

「なっ……吸水率2,000%だと!? そんなもの、肌の水分まで奪い去ってカサカサにしてしまうではないか! リト様の瑞々しいお肌には、私の『保湿重視』こそが正義!」

 二人の美少女がタオルを武器に睨み合う中、海中からひょいと顔を出した人魚姫セリナが、濡れた髪を払いながら参戦した。

「あの……。人魚の国では、古くから『海神の衣』と呼ばれる、深海の海綿から作られた極上のタオルがあります。これは水に濡れるほど柔らかくなり、リト様の動きに合わせて形を変える『液体タオル』……。地上の布とは、次元が違いますわ」

「液体タオルだとぉっ!?」

「人魚姫、あなた……それは反則ですわ!」

 船上が「タオルの質感」を巡る戦場と化す中、当のリトは、クラちゃんの触手にぶら下がりながら、空中で自分の装備を点検していた。

「……あ、みんな。タオルは大丈夫だよ。ほら、さっきクラちゃんに付けた『超高速・温風乾燥機能』。あれを自分に向けて逆噴射すれば、一秒で乾くから」

 ゴォォォォォォッ!!

 リトが指を鳴らすと、クラーケンの触手から「神聖熱風」がリトを包み込んだ。次の瞬間、リトの髪も服も、まるで新品の洗濯物のようにパリッと乾き、サラサラの状態に戻っていた。

「「「………………」」」

 差し出したタオルを宙に浮かせたまま、凍りつくヒロインたち。リトの「掃除の効率化」は、時として乙女心を完膚なきまでに粉砕する。

「よし、乾いた。……さあ、みんな。ふざけてる時間は終わりだよ。……今、世界の『窓』が、外側からの不純物で濁り始めてる。……魔海編、最後の仕上げだ」

 リトの瞳が、青白く澄み渡る。その視線の先には、海面と空の境界線に発生した、見たこともない「どす黒いモヤ」が渦巻いていた。

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