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『追放された掃除屋の俺、全自動の「洗浄結界」を張ったら聖域が爆誕した。〜ボロボロの女騎士を洗ったら神話級の英雄に覚醒したんだが、俺はただの清掃員なんだが?〜』  作者: 志喜  陽斗
第3章:魔海浄化と人魚の涙編

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第54話:魔王軍の刺客『魔将ラード』。リトの「超高温サウナ」に沈む。

人魚の王宮が、世界で最も「滑る」場所へと変貌した頃、魔海の境界線から一つの巨大な影が迫っていた。

 魔王軍が誇る四天王の直属部下、――『油汚れの魔将・ラード』。

 彼はその巨体から絶えずドロドロとした動物性油脂を垂れ流し、通った後の海をすべて「ドブ川」に変える、不潔の権化である。

「グハハハ! 聞いたぞ、この海を小綺麗にしている不届き者がいるとな! 私の『無限油脂』で、そのピカピカの城を二度と落ちないギトギトの天ぷら鍋にしてやろう!」

 ラードが王宮の正門前に現れ、口から真っ黒な重油を吹き出した。

 普通なら、この一撃で王宮は再起不能の汚れに包まれるはずだった。……しかし。

 ツルゥゥゥゥゥン!!

「……な、何!? 我が重油が……弾かれるだと!?」

 放たれた重油は、リトが塗り上げた『エターナル・ミラー・フィニッシュ』の床に触れた瞬間、磁石の同極同士が反発するように激しくバウンドし、あろうことかラード自身の顔面へと直撃した。

「ぐはぁっ!? 自分の油で目が、目がぁぁ! ……おのれ、ならば直接踏み潰してくれる!」

 ラードが怒りに任せて一歩踏み出した、その時。

 スカッ。

「……あ。」

 摩擦ゼロの床。一歩踏み込むための力がすべて横方向の加速へと変換され、ラードの巨体は、まるで放り投げられたボーリングの玉のように、猛烈な勢いで王宮の奥へと滑り出した。

「お、重い……止まらん! 誰か止めてくれぇぇぇ!」

「あ、危ないよラードさん。……そのまま進むと、僕がさっき設置した『全自動・高温スチーム・乾燥室』に突っ込んじゃう」

 リトが親切に警告するが、加速したラードに止まる術はない。

 バシャーーーン!!

 ラードが突っ込んだのは、リトがクラちゃんと共同開発した、大型洗濯物のための仕上げ部屋だった。

「よし、クラちゃん! スイッチ入れて! 温度は『脂が一番よく溶ける』百度設定で!」

「おうよ、リト様! ……【魔導サウナ・油抜きモード】、起動!」

 部屋全体に、超高温の神聖スチームが充満する。

 ラードは、自分を構成する脂肪分が熱でドロドロに溶け出し、排水溝へと流れていく感覚に絶叫した。

「ヒ、ヒェェェッ! 痩せる! 私のアイデンティティ(脂肪)が、健康的なレベルまで落とされていくぅぅぅっ!!」

 数分後。

 部屋から出てきたのは、かつての巨漢ではなく、肌がツヤツヤになったスリムな美青年だった。

 彼は自分の腹筋をさすりながら、呆然と呟いた。

「……。……身体が、軽い。……私、今まで……あんなに重たい不潔を背負っていたのか……?」

「でしょ? ……ラードさん、君の脂、実はすごく質の良い『石鹸の原料』になったよ。……今日から君、その美肌を活かして、王宮の『石鹸プロデューサー』として働かない?」

「……。……やります。リト様、私を……磨いてください!」

 また一人、魔王軍からリトの「掃除軍団」への再就職が決まった瞬間だった。

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