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『追放された掃除屋の俺、全自動の「洗浄結界」を張ったら聖域が爆誕した。〜ボロボロの女騎士を洗ったら神話級の英雄に覚醒したんだが、俺はただの清掃員なんだが?〜』  作者: 志喜  陽斗
第3章:魔海浄化と人魚の涙編

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第49話:時空の隙間の「埃(ほこり)」が降ってくる。リト、次元の窓拭きを敢行。

『魔導窯』の再起動により、魔海は神代の活気を取り戻した。しかし、あまりにも世界が綺麗になりすぎたせいで、本来は見えないはずの「不具合」がリトの目に留まってしまった。

「……ねぇ、あそこの空間。なんだか『指紋』がついたみたいに曇ってない?」

 リトが海中の一点を指差す。

 そこには何もないはずなのだが、リトの「清掃眼」には、空間そのものが濁り、そこに細かな「次元の埃」が堆積しているのが見えていた。

「次元の……曇り? リト様、流石にそれは気のせいでは……。空間が汚れるなんて、聞いたことがありません」

 アルテミスが目を細めるが、何も見えない。

 しかし次の瞬間、リトが指差した場所から、パラパラと「黒い塵」が溢れ出し、周囲の魚たちがその塵に触れた途端、時が止まったように静止してしまった。

「ひゃっ!? お、お魚さんたちが石みたいに! ……これ、ただの埃じゃないわ。……世界の外側から漏れ出してきた『虚無の汚れ』よ!」

 ネフィリムが叫び、影の盾を展開する。

「やっぱり。……世界の『境界線ガラス』が汚れてるんだ。……長年の魔力汚染で、世界の表面に垢が溜まって、そこからひび割れが起きてる。……これを放置しておくと、世界そのものが『割れた窓』みたいに粉々になっちゃうよ」

 リトの言葉に、場に緊張が走る。

 世界崩壊の危機。しかし、リトが抱いた感情は「使命感」ではなく、「我慢ならなさ」だった。

「窓が汚れてるなら、拭くしかないよね。……アルテミスさん、ベヒモスのマストを最大まで伸ばして! ……僕を、あの『空の汚れ』まで届かせて!」

「わ、分かりました! ……でもリト様、どうやって『空間』を拭くのですか!?」

「これだよ。……【特製・精霊水スプレー:空間用ノンアルコール】!」

 リトは、魔導窯で精製したばかりの純粋エネルギーと精霊水を混合したスプレーを構えた。

 アルテミスの支えるマストの先端から、リトは虚空へと跳躍する。

「【清掃奥義:次元・鏡面仕上げ】!!」

 リトが空間に向かってスプレーを噴射し、最高級の「マイクロファイバー魔導クロス」で、円を描くようにシュシュッと拭き上げる。

 すると――。

 キィィィィィィン!!

 真っ暗だった空間の濁りが、一瞬にして晴れ渡った。

 拭き上げられた場所からは、この世界の外側に広がる「星々の輝き」が、まるで磨きたての宝石のように美しく透けて見えた。

「……綺麗。……私たちが住んでいる世界の外って、こんなに澄んでいたのね……」

 セリナが涙を流して見上げる。

「うん。……でも、まだ角のほうが拭き残ってるな。……あそこは脚立がないと届かないか。……クラちゃん、足を一本貸して!」

「おうよ、リト様! ……俺の足で、次元の隅っこまで持ち上げてやるぜ!」

 クラーケンの足に乗って、次元の隙間を掃除する少年。

 その姿はもはや一介の掃除屋ではなく、世界という名の広大な屋敷を管理する「執事(管理人)」のようだった。

 しかし、リトが世界の「窓」を綺麗にしすぎたことで、外側にいた『ある存在』と目が合ってしまう。

「……誰だ。我が『観察窓』を、これほどまでに磨き上げたのは……。……眩しくて、監視ができないではないか」

 天界から、掃除のせいで安眠を妨げられた「神の使い」が、文句を言いに降りてこようとしていた。

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