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『追放された掃除屋の俺、全自動の「洗浄結界」を張ったら聖域が爆誕した。〜ボロボロの女騎士を洗ったら神話級の英雄に覚醒したんだが、俺はただの清掃員なんだが?〜』  作者: 志喜  陽斗
第3章:魔海浄化と人魚の涙編

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第41話:海底火山の「煤払い」。リト、地球の裏側の汚れを見つける。

人魚の国『アクア・パレス』。魔海全体の浄化が進み、今やその海水は最高級のミネラルウォーターよりも澄み渡っていた。しかし、清掃聖者リトの目は、人魚たちが「綺麗になった!」と喜ぶその足元、さらに深い海溝の底を見つめていた。

「……うん、やっぱりね。表面をいくら磨いても、根本的な『排気』を解決しないと、またすぐに汚れちゃうんだ」

 リトは、古代魔導戦艦『ベヒモス』の観測モニターを凝視しながら呟いた。モニターには、海底数千メートルに位置する『ヴォルカノ海溝』から、絶え間なく噴き出す真っ黒な魔力煤が映し出されている。

「リト様、あれは海底火山……魔界の熱源です。あそこから噴き出す黒煙は『神の吐息の燃え残り』と言われ、海を汚す根源とされています。しかし、あそこは高熱と高圧、さらには有毒ガスの塊。近づくことすら不可能です」

 人魚の王女セリナが、尾びれを不安げに揺らしながら説明する。だが、リトは「近づけない」という言葉を聞くと、逆に清掃意欲が燃え上がる体質だった。

「ガスが出るってことは、煙突が詰まってるってことだよ。セリナさん、あれは呪いじゃなくて『不完全燃焼』なんだ。……よし、みんな。地球の裏側の煤払い(煙突掃除)に行くよ!」

 リトの宣言に、同行するヒロインたちが色めき立つ。

「リト様! 煤払いですね。承知いたしました、私がその煤の粒子一つ残さず、聖剣で叩き切って差し上げましょう。リト様の白い服を汚す者は、たとえ自然現象であっても許しません!」

 アルテミスが、リトから支給された「耐熱・耐圧・防水」の三拍子揃った特製エプロンを締め直し、気合を入れる。彼女の背後では、聖女エルナが「リト様、火山の煤に効く『アルカリ性聖水パウダー』の調合、完了しました!」と、巨大な袋を掲げていた。

 一行は『ベヒモス』を潜航させ、未踏の深海、ヴォルカノ海溝へと突き進む。

 水温は百度を超え、周囲は真っ暗な煤のカーテンに包まれる。普通の船なら一瞬で圧壊し、溶けるはずの環境だが、ベヒモスの船体にはリトの手による「親水性・防汚コーティング」が施されており、熱も汚れもツルリと弾き飛ばしていた。

「見えた……。あそこが『大地の煙突』だ」

 海溝の底には、巨大な煙突のような岩の塔が立ち並び、そこからどろりとした黒いヘドロ状の煤が噴き出していた。

「……うわぁ、こびり付いてるね。あれは『魔力のタール』だ。普通のブラシじゃ落ちないよ」

 リトは、艦内の倉庫から「あるもの」を取り出した。それは、先日の沈没船探索で見つけた、古代の魔導遺物――壊れて動かなくなっていた『自律型・海底清掃機プロトタイプ・ルンバ』だった。

「リト様、それはただのガラクタでは……?」

 ネフィリムが首を傾げるが、リトの手にかかれば、数千年前のガラクタも最強の清掃兵器へと変わる。

「壊れてるのは、中の『フィルター』が目詰まりしてただけなんだ。……はい、分解して、洗浄して、リト特製の『超振動モーター』を組み込んだよ。……名付けて、魔導ルンバ『ピカ丸』一号!」

 リトがスイッチを入れると、小さな円盤状の機械がキュゥゥゥン! と高周波を上げ、ベヒモスのハッチから飛び出した。ピカ丸は高水圧を物ともせず、海底火山の噴火口へと取り付いた。

 ズガガガガガガガッ!!

 ピカ丸の底面から放たれる「超音波振動」が、数千年かけて固着した魔力タールを、まるで見事なウロコ取りのように剥がしていく。剥がれた煤は、ピカ丸の内部にある「虚無のゴミ箱(四次元ポケット式)」へと次々に吸い込まれていった。

「な、なんという吸引力……! あの忌まわしい黒煙が、みるみるうちに吸い取られていきます!」

 セリナが驚愕の声を上げる。

「煤がなくなれば、空気……じゃなくて、海流の通りが良くなるんだ。……ほら、火山の火の色が変わったよ」

 真っ黒だった噴火口から、次第に透き通った青い炎が噴き出し始めた。不完全燃焼が解消され、地球の熱が「クリーンエネルギー」として海に循環し始めたのだ。

 すると、海溝全体の水温が安定し、死の世界だった深海に、見たこともないほど透明な「深海魚」たちが集まってきた。

「……ふぅ。これで第一段階完了。……でも、ピカ丸だけじゃ足りないな。……もっと広範囲を『一気洗い』するために、次はあの『古代の沈没空母』を再起動させるよ」

 リトの掃除道は、ついに失われた古代文明のテクノロジーを「大型清掃家電」として蘇らせる領域へと突入した。

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