第40話:海は死なない、洗えば。リト、人魚の国を「ピカピカ」に。
『ヌメリス島』の浄化を終え、魔海域の全汚染源を断ち切ったリト。
今、人魚の国の王宮(もちろん、リトが柱の一本一本まで磨き上げた)では、大陸の歴史に刻まれるであろう、大掛かりな式典が行われていた。
「救世主リト殿。……あなたは、私たちの海だけでなく、私たちの『心』まで洗い流してくださいました」
人魚王が、リトの前に跪き、伝説の秘宝『海神の涙』を差し出す。
それは、海そのものの魔力を凝縮した、究極の「水の素」だった。
「リト殿、これをお持ちください。……これがあれば、あなたは世界中のどんな汚れも、一瞬で洗い流すことができるでしょう」
「ありがとうございます、王様。……でも、これ。……すごくいい『洗濯用洗剤の濃縮液』になりますね。……大切に薄めて使わせてもらいます」
リトのブレない姿勢に、王は呆れながらも深く感謝した。
一方、王宮のバルコニーでは、女性陣がそれぞれの「今後」を話し合っていた。
「……セリナ王女。リト様はこの後、大陸の北、魔王軍の本拠地へと向かいます。……貴女は、ここでお留守番ですね?」
アルテミスが、釘を刺すようにセリナを見つめる。
「いいえ。……私も、リト様の『専属・洗髪係』として、お供します。……人魚の指先は、陸の人よりもずっと、髪の汚れに敏感ですから」
「な……っ!? これ以上、ライバルが増えてたまるものですか!」
エルナとネフィリムも参戦し、現場は再び一触即発の空気に。
リトは、それを見ながら、新しく仲間になったクラーケンのクラちゃんを撫でていた。
「クラちゃん、次は雪山かな。……雪の汚れって、意外と根深いからね」
「どこまでも行くぜ、リト様! ……俺の触手、もっと高速回転できるように鍛えておくからな!」
海は、かつての美しさを取り戻し、太陽の光を浴びて青く輝いている。
リトが通り過ぎた後には、一滴の汚水も、一片のゴミも残らない。
ただ、そこにあるべき「本来の輝き」だけが残されるのだ。




