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美しき魔獣セイレーン①


「ハイドゥーモ・ワーワー・ユーティマスクゥド……!」


「はじめまして海上が故ほうきの上から失礼いたします、王の命により馳せ参じました私は魔女アマリアマリア・マリア・アマリアマリア。長いのでアマリアとお見知りおきを。美しき魔獣セイレーンよ、秘術によりあなたの魂に直接話かけています」

「あら、これはこれはかわいい魔女さん。こんな沖まで妾になんの用だい?」

「実はご相談がありまして、先日、近隣の村の若い漁師が原因不明の病に倒れ、うわごとのように『人魚』『人魚』と口にしているのです」

「へえー。それが妾たちせいだって、そう言いたいのかい?」

「そうではありません。あなたをこのあたりの人魚を束ねる女王と見越して知見をいただけたらと思いまして」

「あらお上品だこと。それで? その漁師とやらはどんな症状なんじゃ?」

「はい。私も直接診断しましたが、まず高熱と嘔吐が、そして体の一部に大きな腫脹が見られます」

「妾にそんなまじないは使えないねえ」

「ええ実際魔術的な痕跡はなく、寄生虫などの感染症と似た症状と思われます」

「魚の食中毒じゃないのかの? 妾たちと違い人間はそのへんの耐性がないからね」

「ええ私も患部を見るまではそう疑っていました」

「……魔女というのはどうもまどろっこしいね。言いたいことがあるならはっきり言ったらどうなんじゃ」

「無礼な態度をお許しください。でははっきり言います」


「チ〇コです! チ〇コがめちゃめちゃ腫れてました!」


「それと妾たちと何の関係があるっというのじゃ!」

「まぐわったんですよ! 人魚が! 人と! はっきり言います性病です!」

「妾たちの中の誰かが、人となんかまぐわったって言うのかい!?」

「『人魚』『人魚』って言ってますからね!」

「わかっていると思うが、妾たちには雄の個体もおる。だというのにわざわざ物好きに人とまぐわったバカがいるってのかい?」

「決めつけてはいません。ただその可能性があるんです」

「いいか小娘よ、よくお聞き。人間とまじわろうなんて物好きは……」


「この妾じゃァ!」


「何ィー!?」

「そうさ妾が食っちまったのさ! 性的な意味でな!」

「なぜなんです……あなたほど高貴な存在がなぜそのようなことを……」

「小娘、妾はいくつに見える?」

「はあ、魔力の輝きを見るに200は超えるかと」

「そんなこと聞いてるんじゃないんだよ! 人間の尺度で妾の美貌は何歳くらいの雌に見えるんじゃ!?」

「ええと……そうですね……人間で言うと28、9の見た目かと」

「そうだろう。人から見ればまだまだイケる見た目だ。だが雄の同胞たちの目には妾は200越えの最年長ババア……。妾よりも歳を経た者たちはみな200年前、魔王の支配下で戦い死んでいった。ならばこの体の火照りはどうしたらいい?」

「だからって人間に手を出さないでくださいよ。病気になっちゃいます」

「妾と一夜を共に出来たのだ、病気ぐらいなんじゃ」

「いや、結構重症なんですって、最悪切り落とさないといけないくらいなんですから。私嫌ですよ、そんな作業するの……。一度の火遊びということで、もうやめてくださいね。これ以上すると討伐の対象になっちゃいますよ」

「約束はできぬ。妾の体はまだうずいておる。おぬしだってそうだろう。おぬしの体からはかすかに淫気がもれておる」

「淫気なんてもれてないですよ! 確かにお相手はいませんが……」

「おぬしにもわかるはずだ。殿方に求められる寂しさを」

「そうゆうのは同族の雄に向けてくださいよ。若い子にモテる努力をしましょう」

「どうしろというのだ。体は老いていく一方ぞ」

「そうだ歌! 歌があるじゃないですか。セイレーンは美しい歌声で雄を魅了すると聞きます。素敵な歌を歌って殿方を魅了しましょう」

「ふむ、確かに妾の歌は過去、数々な雄を魅了してきた。それに磨きをかけるというのだな?」

「そうですよ、人間には歌っちゃだめですけど、同族の雄たちを歌でメロメロにしちゃいましょう」

「しかし妾、若者にウケる流行の歌がよくわからん」

「歌は流行じゃないですよ、いかに相手の心の奥に響くかです。セイレーンさんの経験値と魔力量ならその辺の雄なんてイチコロの歌が歌えますよ」

「うむ、久しぶりに声を出してみるか……ごほん。ラァー、ラァー、ラァー」

「うわ、すごい! きれいな声ですよ! 透明感がありながら、若い子にはない重厚感を感じます!」

「さ、左様か? ならば久しぶりに一曲歌ってみようかの」

「ぜひぜひ。わーセイレーンの歌が間近で聞けるなんて私もちょっとラッキーですね。ではどうぞ!」


『火照った! 火照った! 我が××××!』


「サンダー」

「ギャー! 貴様! なぜ弱点属性の魔法を放つ!?」

「セイレーンさんが真面目にやらないからです」

「妾は真面目じゃ!」

「なんですかその歌詞? ふざけてるんですか? 誘惑するんですよね? 一人で悶えてるだけじゃないですか」

「違うこの歌はこの後が良くて」

「いや、もうリカバリー不能ですよ。……ちなみにこのあとどう続くんですか?」

『たぎった、たぎった、其の肉棒』

「サンダー×2」

「ギャー! ギャー! 貴様! なぜ二回撃った!?」

「このいかずちは私の涙です。せっかく声はお美しいのに歌詞が終わってます。てゆうかなんでそんなハードな感じなんですか? セイレーンの歌ってもっとしっとりした感じじゃないんですか?」

「こっから! こっからはバラードなんじゃ。さっきのはサビを最初に持ってくるパターンのやつじゃ」

「あれがサビの時点で希望はないですね」

「いいから最後まで聞いてみよ。雷撃は打つなよ!」

「……努力します」

「じゃあはじめから。ごほん」

 

 『海の潮が満ちるころ』

  

  火照った 火照った 我が×××× 

  たぎった たぎった 其の肉棒

  海の潮が満ちるころ 私の××もビチャビチャよ

 

  ねえ 簡単なこと ねえ 気付いてる?

  あなたが心を開けば 二股の尾びれは簡単に開くのよ

  簡単に そう簡単にね

 

  今宵は良い月 私の乳房も食べごろよ

  若い子にはない味わいよ(若い子にはない味わいよ) 


  波の調べで ラブゲーム

  はやく ねえ はやく はやく はやく 

  強がらないで あなたの×××はもうギンギンだと思う

  はやく ねえ はやく はやく はやく 

  待ちきれないのは私だけ?


  火照った 火照った 我が×××× 

  たぎった たぎった 其の肉棒

  海の潮が満ちるころ 私の××もビチャビチャよ


「天に集いし雷雲よ……その中を舞う無数の氷晶……」

「……ハッ、いかん! ウォーターガン!」

「ハッ、障壁よ!」

「何をしておる! 海に稲妻を落とす気か!」

「すいません、いささか不愉快で」

「妾の歌を不愉快と申すか!?」

「まず基本下品です。普通もっと遠回しな表現するんじゃないんですか? 詩的表現というか」

「こっちの方がわかりやすいじゃろ!」

「……まあ、殿方を誘惑する歌なので、多少下品でもいいかもしれないですけど、なんというか全体的に必死過ぎてつらいです」

「実際必死なんじゃから仕方なかろう」

「例えばこの


  ねえ 簡単なこと ねえ 気付いてる?

  あなたが心を開けば 二股の尾びれは簡単に開くのよ

 簡単に そう簡単にね


 ですけど、『簡単』て四回も言ってるんですよ。こいつよっぽど相手にされてなくて必死かなって思って引いちゃいます」

「なんじゃと? 妾は警戒心を解こうと親切のつもりで……」

「あと、


  今宵は良い月 私の乳房も食べごろよ

  若い子にはない味わいよ(若い子にはない味わいよ) 


 の部分ですけど、前半はまあ目をつぶるとして『若い子にはない味わいよ』を二回言ってるのが腹立ちました。二回目のセルフコーラスが特に。どんだけ必死なんですか? ああ、こいつ若い雌に雄を取られてるんだなって白状してるのも一緒ですよ」

「……なんじゃと……?」

「で、そのあとの


  波の調べで ラブゲーム

  はやく ねえ はやく はやく はやく 

  強がらないで あなたの×××はもうギンギンだと思う

  はやく ねえ はやく はやく はやく 

  待ちきれないのは私だけ?


 ですが、はいその通りです。待ちきれないのはあなただけです。何回はやくって言っても同じです」

「なんじゃって!?}

「それと『あなたの……ほにゃららはもうギンギンだと思う』ですが『だと思う』ってなんなんですか? 内容はともかくそこは言い切りましょうよ。自信のなさが露呈しちゃってますよ。あとラブゲームってシンプルにダサいです」

「小娘が……そこまで言うことはないじゃろう」

「いえ、これもセイレーンさんのためです。ちなみにサビは0点です」

「ぐぬぬ……」

「これではっきりしました、セイレーンさん。このままではあなたは同族の雄に相手にされず、その火照りを治めるために人間を手を出し続け感染症をまき散らし、いづれ討伐される負けセイレーンです!」

「ガガーン!」

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