今日は明日の
「今日も一日、楽しかったですね先輩」
だらだらと。
「……先輩?」
だらだらと、なんにも変わらず、進まない。
「そうだね。結構、楽しいね」
目新しいことはなにひとつ起きず、カビの生えた青春を過ごす。
「ふっふっふ、明日は結構どころじゃないですよ」
明日が今日になって、今日が昨日になる。
「なんかあったっけ?」
そんな昨日を、振り返る毎日。
「なにもない日なんてないのですよ。日々、私たちを取り巻く環境は変わり続けているのです」
そんな日常。
「要は、なんにもないわけだ」
いつか。
「そんなことは、今日の私には分かりません。明日の私に期待しましょう」
いつか、空が落ちるとしても、それは今日じゃない。
「期待薄だなぁ」
間違ってないだろ?
「むぅ~……そこまで言うのなら、先輩がなにかしてくれればいいじゃないですか」
そんなに間違ってないと思うんだ。
「なにかって」
だって、そうだろう。
「なんでもいいですよ。なにかです、なにか」
こんな、だらだらとした日々に。
「なんだそりゃ」
僕は、満足しているんだから。
「私は先輩になら、なーにをされてもウェルカムなので」
……間違ってないだろ?
「まぁ、考えとくよ」
僕はふと、振り返って線路を見る。
「その言いぶり……明日の先輩にも期待は持てそうにありませんね」
辿った線路を眺めて、ぼんやり考えた。
今日はもう、昨日の後日談だろうって。
そんなことを、進んでいく電車の中で思った。
「……ねぇ綾乃」
「はい、どうしました」
「昔話しよっか」
「……私、次の駅で降りるのですが」
プシューと情けない音を鳴らして電車は止まる。扉が開く。
「……んじゃ、また明日」
「はい。また明日」
綾乃がぺこりと去って、扉が閉まる。電車が動いて、また進む。
僕はもういちど窓の外を振り返って、綾乃のいるホームを見る。
後ろを見ることにした。




