決闘
朝7時に起床しコロシアムの中を見て回り構造などを把握して(いつもは2、30分のランニング)朝食の時間になり食堂で食事を済ませ初回の方はこちらへという看板を見つけ矢印の先にあった受付へと向かった。
「出場手続きですね、でしたらそちらにある魔道具にカードを翳して下さいそれで出場出来ます。ですが一度入ると負けるか試合が全部終わるまでは外には出れません、あと決闘開始まで1時間くらいありますがよろしいですか」
「はい」
「では入場して下さい、入場して真っ直ぐ進むと武器置き場があるので自分の好きな武器を2つ選んで下さい。1つでもいいですが大抵の方は2つ選ばれます。その武器は新しい武器を買えるまでの相棒となりますのでくれぐれも扱えない武器を選ばないようにお願いします。それと此方の紙をお渡しするので目を通しておいて下さい。ご武運をお祈りします」
「ありがとうございます」
言われた通り真っ直ぐ進むと武器置き場があった。そこには片手剣・剣・レイピア・刀、ナイフ・投げナイフ、槍、鞭、魔石の付いた杖、弓、木の盾等が置いてあった。
「う〜ん、ここは刀にしておくか俺は小太刀とか忍者刀の方が得意だけど無いしな」
俺は刀を取りもう一つのウェポンを何にしようか考える。
「遠距離は欲しいな、となると投げナイフかな…投げナイフみたら稲垣さんを思い出す」
稲垣さんは現役の傭兵で俺に戦場のイロハやナイフや銃火器の扱い方を教えてくれた人だ。父さんの大学の後輩らしくいつも父さんと一緒に酒を飲んでたんだよな…教えてもらったダブルナイフも試したいな、まあもう少し器具がいるから今は出来ないけど。
「しんみりしちゃったな、いけない戦闘の前は心を落ち着かせないと瞑想でもするか…とその前に紙を見とかなきゃな」
僕は他の人の邪魔にならないように部屋の隅に移動し紙を見ると決闘開始の合図がなってからの流れが書かれていた。
(まず自分のランク帯のフロアを確認しその階に行きカードで見れる決闘番号が奇数だと右、偶数だと左に進んで待合室に向かう、俺は左に行けばいいのか)
一通り目を通し終えて床に座り瞑想する。
(そういえばこの世界には魔力と魔法があったな、この機会に魔力でも探すか)
そうして1分くらい自分の内に意識を向けていると心臓に日本ではなかった物を見つけた。
(これか、どう操作するんだ?液体ぽいから身体を流れる血液みたいなイメージでやってみるか)
魔力を血のように身体全体に流すイメージで操作してみると魔力が流れ身体の細胞一つ一つに行き渡り体の奥底から力が湧いてくる感覚があった。
(おお!魔力強化は成功したっぽい、でも流石に魔法は発動出来ないか…あれは魔法文字や魔法陣とか学ばないといけないし当然か)
そんな事をしてる内にいつのまにか1時間経ち決闘開始の合図が鳴り対戦相手が空中に表示された。
(スゲェ、ホログラムみてえだ!え〜っと、俺は地下3階かな)
エレベーターみたいなので地下に降りると赤色の鉢巻を渡され待合室に通された。グループ分けの為に付けるらしい。中には今の俺と同じくらいの年齢の奴がゴロゴロいた。皆ギラギラした目をしている。
(成り上がるぜって顔してるな、お互い頑張ろうぜ)
心の中で応援すると待合室に俺の番号が表示される。
(俺が一番か)
待合室から出て少し進むと横に道があり矢印が壁に書かれていた。
(こっちに進めってことだな)
そして進んでいくとカードを翳せる魔道具がありそこにカードを翳すとゲートが開く。
(いよいよか、緊張するな)
俺がゲートを潜りスタジアムに入ると向こうからも黄色の鉢巻をして片手剣と盾を持った青年が現れた。会場は物凄い熱気に包まれておりあっちこっちで「勝てー、お前に1万賭けてるんだ」「負けるな、俺はあいつに5万賭けてんだ」などの言い合いが聞こえる、どうやらコロシアムでは賭け事も行われているらしい。
そして白線まで両者進み止まる。すると審判が声を上げる。
「降参、死亡をもって決着とする、レディーファイト」
相手が熱の籠もった殺意の目線で見つめてくる。
(人から殺意を向けられる初めての経験だな、こういう時こそ慌てずに)
自らの思考と心を鎮め刀を正眼に構える。すると向こうから攻めてくる。
上段から剣が振り下ろされるが遅い、僕は突きを放ち彼の喉を貫いた。
一瞬で決着がついたことで会場が静まり返った。茫然としていた審判がハッと我に帰り判決を下す。
「黄の死亡、勝者赤」
「「「うおぉーー」」」
「「「あぁーーー」」」
二分化した声を背に僕はスタジアムを去った。




