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第88話 「最初の一歩」

朝。


 拠点は、いつも通り動いている。


 だが。


 少しだけ違う。


 空気が。


 張っている。


「外周、最終確認終わり」


「問題なし」


 声が飛ぶ。


 だが。


 余裕はない。


 全員が分かっている。


 今日は。


 “動く日”だ。


 中央。


 悠真たちが集まる。


「……範囲はここまで」


 白峰 蓮が地面に線を引く。


 拠点を中心に。


 円。


「この中で動く」


「それ以上は出ない」


 制限。


 だが。


 必要な制限。


「……意外と狭いな」


 蓮斗が言う。


「当然だ」


 白峰 蓮が返す。


「ぴーちゃんの回復範囲内」


 その一言。


 全員が納得する。


「ぴー!」


 ぴーちゃんが少し得意げに浮く。


「ここならちゃんと回復できるよ!」


 重要な要素。


 これが。


 この作戦の基盤。


 その時。


「……無理はするな」


 黒崎 恒一。


 静かに言う。


「帰る前提で動け」


 短く。


 だが。


 絶対のルール。


「……分かってる」


 悠真が答える。


 無理はしない。


 死なない。


 それが最優先。


 その時。


「……気をつけてね」


 美月。


 少しだけ不安そうに。


 でも。


 止めない。


 それが。


 自分たちの選択だから。


「……ああ」


 悠真が短く返す。


 そして。


 外へ出る。


 拠点の外。


 静か。


 昨日の戦いが嘘みたいに。


 だが。


 違う。


 感じる。


 気配。


 見えない圧。


「……いるな」


 蓮斗が言う。


 周囲を見る。


 そして。


 影が動く。


 ゆっくり。


 現れる。


 屍影。


 数体。


 だが。


 昨日ほどじゃない。


「……少ない?」


 蓮斗が言う。


 違和感。


 その時。


「ぴー……」


 ぴーちゃんが小さく鳴く。


「……なんか変」


 悠真が目を細める。


 屍影。


 動かない。


 いや。


 様子を見ている。


「……来ない?」


 蓮斗が言う。


 その時。


 一体。


 ゆっくりと下がる。


 逃げるように。


「……は?」


 蓮斗が言う。


 違和感。


 その瞬間。


 奥。


 気配が動く。


 別の方向。


「……そっちか」


 白峰 蓮が言う。


 理解する。


「誘導されてる」


 悠真も頷く。


 屍影は。


 “餌”だった。


 本命は。


 別。


「……追うか」


 蓮斗が言う。


 前に出ようとする。


「待て」


 悠真が止める。


 距離。


 範囲。


 忘れてはいけない。


「……範囲内で行く」


 白峰 蓮が言う。


 ギリギリを攻める。


 それが。


 今回の動き。


 そのまま。


 進む。


 一歩ずつ。


 慎重に。


 奥へ。


 そして。


 見える。


 地面。


 黒く。


 歪んでいる。


「……これ」


 悠真が言う。


「ぴー……!」


 ぴーちゃんが強く反応する。


「これ侵食体しんしょくたい!」


「地面ダメにするやつ!」


 地面が動く。


 じわじわと広がる。


 足を取る。


「……なるほどな」


 白峰 蓮が言う。


「範囲制御」


 逃げ場を減らす。


 そのための存在。


「……嫌な戦い方だな」


 蓮斗が言う。


 その時。


 さらに奥。


 何かが動く。


 影。


 だが。


 今までと違う。


 数じゃない。


 “配置”。


 明らかに。


 考えられている。


「……来てるな」


 悠真が言う。


 確信。


 これは。


 偶然じゃない。


 戦いは。


 もう。


 “作られている”。


 最初の一歩は、踏み出した。


 だが。


 それは、敵の領域の中だった。



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