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第86話 「外の情報」

 静かだった。


 拠点の中。


 人の気配はある。


 でも。


 少しだけ張り詰めている。


 中央。


 蒼月が座っている。


 水を飲み終え。


 少しだけ落ち着いた様子。


 だが。


 目は鋭いまま。


「……話せるか」


 悠真が聞く。


 蒼月は頷く。


「……時間、ないと思う」


 最初の一言。


 軽くない。


 白峰 蓮が視線を向ける。


「根拠は」


 蒼月は迷わない。


「ダンジョンの動き」


「変わった」


 短く。


 だが。


 断定。


「……こっちもだ」


 悠真が言う。


 蒼月が少しだけ目を細める。


「やっぱり」


 同じだった。


 その時。


「具体的には」


 白峰 蓮が聞く。


 蒼月は息を整えて。


「……屍影」


「増えた」


「動きも変わった」


 ここまでは同じ。


 だが。


「……それだけじゃない」


 空気が少し変わる。


「ぴー……?」


 ぴーちゃんが反応する。


 蒼月が続ける。


「統制されてる」


「……前からじゃない」


「最近」


 その言葉。


 重なる。


「……一致してるな」


 白峰 蓮が言う。


 悠真も頷く。


 同じ現象。


 別の場所でも。


 起きている。


「……場所は?」


 悠真が聞く。


「北海道側」


「複数ダンジョン」


 単体じゃない。


 広がっている。


 その時。


「……範囲広いな」


 蓮斗が言う。


「こっちだけじゃねぇのか」


 蒼月が小さく頷く。


「……たぶん」


「全部」


 その一言。


 空気が固まる。


 世界規模。


 その可能性。


「ぴー……」


 ぴーちゃんが少し震える。


「やだ……これ……やなやつ……」


 感覚的に理解している。


 危険。


 その時。


「……他は」


 黒崎 恒一が聞く。


 蒼月が少しだけ迷って。


「……人」


 その一言。


「……減ってる」


 静かに言う。


 悠真の目が動く。


「どういうことだ」


「……拠点」


「崩れてる」


「持たない」


 短く。


 だが。


 現実。


「……助けは?」


 美月が聞く。


 蒼月は首を横に振る。


「……ない」


「余裕ない」


 それが。


 外。


 現実だった。


 沈黙が落ちる。


 その時。


「……理由は一つだな」


 黒崎 恒一が言う。


 全員を見る。


「統制されているからだ」


 シンプル。


 だが。


 答え。


「バラバラなら持つ」


「だが」


「まとまれば崩れる」


 その通りだった。


 今までのダンジョンは。


 バラバラだった。


 だから。


 耐えられた。


 でも。


 今は違う。


 “意思”がある。


 その時。


「……あの」


 蒼月が言う。


 少しだけ視線を上げる。


「……これ」


「普通じゃない」


 全員が見る。


 続ける。


「……誰かいる」


 その言葉。


 空気が変わる。


「……誰か?」


 蓮斗が聞く。


 蒼月は頷く。


「……見たわけじゃない」


「でも」


「そう感じる」


 直感。


 だが。


 軽くない。


 悠真は静かに考える。


 統制核。


 あの動き。


 あれは。


 ただのモンスターじゃない。


 もっと上。


「……いるな」


 小さく言う。


 確信。


 そして。


 それは。


 ただの敵じゃない。


 “指揮する存在”。


 その時。


 ぴーちゃんが小さく呟く。


「ぴー……」


「これ……ダンジョン……おかしい……」


 不安。


 そして。


 核心に近づいている。


 悠真が立ち上がる。


「……動く必要あるな」


 静かに言う。


 守るだけじゃ足りない。


 理解しないといけない。


 外を。


 敵を。


 この変化を。


 世界は、同時に動いている。


 そして。


 それは、止まらない。



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