第81話 「迎撃」
来た。
それは。
音ではなかった。
気配だった。
空気が。
変わる。
ダンジョンの奥。
闇が揺れる。
そして。
溢れる。
影。
一体じゃない。
二体でもない。
群れ。
「……来たぞ!!」
見張りの声が響く。
一瞬で。
拠点が切り替わる。
動き出す。
外周。
悠真たち。
「前に出るな!ライン維持!」
悠真が叫ぶ。
蓮斗が前に立つ。
「任せろ!」
突っ込んでくる影。
速い。
前より明らかに。
「……っ!」
ぶつかる。
重い。
力が増している。
「……強くなってる!」
押し返しながら言う。
玲奈が動く。
一瞬で横から切り込む。
倒れる。
だが。
次が来る。
止まらない。
「数が多い!」
白峰(子)が叫ぶ。
「想定以上だ!」
外は。
押されている。
だが。
崩れていない。
内側。
拠点の中。
「補給ライン維持!」
白峰 恒一の声。
「止めるな!」
水。
道具。
人。
流れている。
止まらない。
「次、こっち!」
「了解!」
人が動く。
迷いなく。
役割通りに。
桐谷 恒一郎が叫ぶ。
「西側、補強行く!」
防壁へ走る。
叩く音。
補強。
守る形を維持する。
桐谷 直子。
「こっち、温かいのあるから!」
「無理しないで!」
声を飛ばす。
それだけで。
人が持つ。
折れない。
その中で。
黒崎 美月。
走る。
物を運ぶ。
でも。
それだけじゃない。
「……大丈夫?」
立ち止まる人に声をかける。
震えている。
怖い。
「……大丈夫」
強がる。
でも。
分かる。
美月は手を握る。
「……一緒に行こ」
それだけ。
でも。
動き出す。
人は。
一人じゃないと。
動ける。
外。
「……押し切るぞ!」
蓮斗が叫ぶ。
前に出る。
「出るな!」
悠真が止める。
「ライン崩れる!」
ギリギリで止まる。
危なかった。
でも。
守る。
それが最優先。
「……数、減らないな」
白峰(子)が言う。
「……いや」
悠真が見る。
「増えてる」
その言葉。
重い。
ダンジョン。
まだ。
出ている。
止まっていない。
「……っ!」
その時。
一体。
違う動き。
速い。
他より。
明らかに。
「……危ない!」
玲奈が叫ぶ。
悠真が反応する。
受ける。
衝撃。
重い。
強い。
「……こいつ……!」
ただの敵じゃない。
一段上。
変化している。
その時。
「……無理するな」
後ろから声。
黒崎 恒一。
外に出ている。
状況を見る。
一瞬で理解する。
「……来ているな」
低く言う。
「段階が上がった」
その一言。
全員に伝わる。
ただの波じゃない。
変化した波。
その時。
「東側、持ちません!」
声が飛ぶ。
全員が反応する。
崩れる可能性。
だが。
黒崎 恒一が言う。
「落ち着け」
短く。
「流れを止めるな」
白峰 恒一がすぐに動く。
「東に人を回せ!」
桐谷 恒一郎が走る。
補強。
繋がる。
止まらない。
拠点は。
回っている。
戦いの中でも。
崩れない。
悠真はそれを見る。
理解する。
これは。
ただの戦闘じゃない。
“拠点の力”だ。
そして。
守る。
ここを。
絶対に。
守る者と、支える者。
その両方がいて。
初めて戦いは成立する。
そして。
まだ終わらない。
戦いは。
続いている。




