第66話 「防衛線」
動く。
全員が。
今までとは違う。
ただの作業じゃない。
“守るための準備”。
「……時間は」
白峰が言う。
「長くない」
外の影。
確実に増えている。
止まらない。
「……急ぐぞ!」
蓮斗が声を張る。
全員が動く。
■配置
まず決める。
前。
入口付近。
「戦える人は前に」
数人が出る。
蓮斗。
玲奈。
そして、数人。
完全じゃない。
でも。
足りない中での最善。
「……中は任せる」
後ろ。
水班。
子供班。
非戦闘員。
「絶対に前に出るな」
強く言う。
頷きが返る。
理解している。
ここが崩れたら終わる。
■役割
次に分ける。
「見張り」
「補給」
「救護」
それぞれに人を割り当てる。
「水は前に回せ」
「怪我人はすぐ下げる」
動きが整理されていく。
無駄が減る。
それだけで。
生存率が変わる。
■戦術
「……正面からは押される」
白峰が言う。
「ならどうする」
「削る」
シンプルに。
「一気に倒そうとするな」
「一体ずつ確実に」
玲奈が頷く。
「……わかった」
ぴーちゃんが光る。
「……まもる!」
「……引くな」
蓮斗が言う。
「でも突っ込みすぎるな」
そのバランス。
重要だった。
守る戦いは。
“耐える戦い”。
無理をすれば崩れる。
■合図
「……合図決めるぞ」
「危険なら叫べ」
「誰でもいい」
共有する。
全員で。
それだけで。
連携が生まれる。
■最後
全員を見る。
不安。
緊張。
でも。
逃げていない。
前を見ている。
それだけで十分だった。
「……大丈夫だ」
自然に言う。
根拠はない。
でも。
伝わる。
少しだけ。
空気が落ち着く。
その時。
音。
外。
近い。
「……来るぞ」
蓮斗が構える。
玲奈が前に出る。
ぴーちゃんが光る。
「……いく!」
全員が構える。
ここから。
始まる。
ただの戦いじゃない。
守るための戦い。
この場所を。
人を。
未来を。
全部。
守るための戦い。
準備は終わった。
あとは。
やるだけだ。
影が、動く。
戦いが、始まる。




