第57話 「生き残った人たち」
戻る。
ダンジョンへ。
全員。
無事。
「……着いた」
誰かが呟く。
その瞬間。
力が抜ける。
座り込む人。
泣き出す子供。
その場に崩れる大人。
当然だった。
ずっと張り詰めていた。
命を。
繋ぐために。
「……ここが」
「……安全な場所?」
小さな声。
不安。
疑い。
でも。
「……ああ」
はっきり言う。
「ここは大丈夫だ」
その一言で。
空気が変わる。
少しだけ。
安心が広がる。
でも。
完全じゃない。
当然だ。
何もない。
ベッドも。
食料も。
水も。
「……ここで」
「……どうやって生きるんですか」
誰かが言う。
現実。
目の前にある問題。
助けただけじゃ。
終わらない。
ここからが。
本当の問題。
白峰が言う。
「役割分担が必要だ」
蓮斗が言う。
「とりあえず座れる場所作るか」
玲奈が、ぽつりと言う。
「……みず」
ぴーちゃんが光る。
「……おなかすいた」
祖父が言う。
「まずは落ち着かせろ」
その通りだった。
パニックになれば。
崩れる。
ここも。
人も。
「……できることからやる」
声を出す。
全員が、こちらを見る。
「水を探す」
「食料も」
「寝る場所も作る」
「ここで生きる」
静寂。
でも。
その言葉が。
少しずつ。
浸透していく。
「……手伝います」
一人が言う。
次に。
「……私も」
また一人。
増える。
手が。
人が。
増えていく。
「……いいじゃねぇか」
蓮斗が笑う。
白峰が言う。
「自律が始まったな」
玲奈が、少しだけ頷く。
「……いい」
ぴーちゃんが、嬉しそうに光る。
「……いっぱい!」
祖父が言う。
「人は強い」
その通りだった。
守るだけじゃない。
支えるだけでもない。
生きる。
自分たちで。
そのために。
動き始める。
ここが。
ただの避難所じゃなくなる。
“場所”になる。
生きる場所に。
変わっていく。
その中心に。
俺たちがいる。
でも。
これは支配じゃない。
ただの。
きっかけだ。
生きるための。
最初の一歩。
守っただけじゃ終わらない。
ここから。
生きる場所を作る。
それが。
次の戦いだった。




