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第58話 「水」

静かだった。


 さっきまでの混乱が、少しだけ落ち着いたあと。


 全員が、気づき始める。


「……のど、かわいた」


 小さな声。


 でも。


 それが、すべてだった。


 水。


 生きるために、絶対に必要なもの。


 でも。


 ここにはない。


「……水源の確認をする」


 白峰が言う。


 すぐに動く。


 ダンジョン内を調べる。


 壁。


 床。


 奥。


 でも。


 ない。


「……自然水源なし」


 その一言。


 空気が重くなる。


「……マジかよ」


 蓮斗が言う。


「水なかったら終わりだぞ」


「……ああ」


 分かっている。


 食料より先に。


 水が尽きる。


 玲奈が、ぽつりと言う。


「……外」


 ぴーちゃんが震える。


「……あぶない」


 その通りだった。


 外にはある。


 水。


 でも。


 危険。


 取りに行く必要がある。


「……運ぶか」


 蓮斗が言う。


「外から」


 白峰が頷く。


「現実的だ」


 祖父が言う。


「だが」


「長くは持たん」


 その通りだった。


 人数が増えた。


 必要な量も増える。


 毎回取りに行くのは。


 限界がある。


「……作れないのか」


 自然に出る。


「……は?」


 蓮斗が言う。


「水だぞ?」


「……いや」


 考える。


 ダンジョン。


 因子。


 この世界の仕組み。


 何か。


 あるはずだ。


「……可能性はある」


 白峰が言う。


「条件は不明だが」


「生成系スキルの存在は確認済み」


 玲奈が、ぽつりと言う。


「……つくる」


 ぴーちゃんが光る。


「……できる?」


 全員が、こちらを見る。


 分からない。


 でも。


「……やる」


 試す。


 手を伸ばす。


 意識する。


 水。


 流れ。


 存在。


 その時。


 感覚。


 スキル。


 増えた引き出し。


 その中から。


 一つ。


 引き出される。


「……これ」


 手の中。


 小さな。


 水滴。


「……出た?」


 蓮斗が言う。


 でも。


 少なすぎる。


 足りない。


 全然。


「……量が足りない」


 白峰が言う。


「効率が悪い」


 でも。


 可能性はある。


 ゼロじゃない。


「……組み合わせるか」


「……は?」


 複数。


 スキル。


 同時に使う。


 流れを増やす。


 圧をかける。


 その結果。


 水が。


 増える。


「……おお!」


 蓮斗が声を上げる。


 量。


 まだ少ない。


 でも。


 使える。


「……いける」


 玲奈が言う。


 ぴーちゃんが、強く光る。


「……できる!」


 祖父が言う。


「これで繋げる」


 白峰がまとめる。


「外部補給+内部生成」


「ハイブリッドで維持する」


 決まる。


 水は。


 確保できる。


 完全じゃない。


 でも。


 生きられる。


 その事実が。


 全員を支える。


「……ありがとう」


 誰かが言う。


 小さく。


 でも。


 確実に。


 届く。


 俺は、頷く。


 守る。


 だけじゃない。


 生きさせる。


 そのために。


 動く。


 ここを。


 “生きる場所”にするために。


 生きるための最初の資源は、水だった。


 そして。


 それを手に入れた。


 次に必要なのは。


 また別の問題だった。


 ――


(続く)



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